超ミニマル・ライフとは、「どうでもいいことに注ぐ労力・お金・時間を最小化して、あなたの可能性を最大化する」ための合理的な人生戦略のこと。四角大輔さんの新刊『超ミニマル・ライフ』では、「Live Small, Dream Big──贅沢やムダを省いて超効率化して得る、時間・エネルギー・資金を人生の夢に投資する」ための全技法が書かれてあります。本書より、「嫌いな人、苦手な人」が運命の人になる、とっておきの方法についてご紹介します。
“重い人付き合い”を軽くする3つのティップス
前回の連載では、楽で効果的な人間関係をデザインするための、3つの技を伝授した。
元々、人付き合いが一番の苦手だった筆者が、厳しいビジネスシーンを生き抜く中で身に付けた処世術と呼べるもので、その内容は、①言葉をソフトに変換する(好きになれない「嫌いな人」を「ニガテな人」と言葉替えする。「仕事ができないヤツ」を「ときどき抜けちゃう人」に、「会いたくないヤツ」を「たまに会えればいい人」に、「許せないヤツ」を「残念な人」に変換する)②心の距離を置いてみる(ニガテだと思う人をできる限り避けてみる方法)③物理的な距離を置いてみる(徹底的に礼節は尽くしつつ距離を置く)、この3つだった。
最終手段を取る前に、1つだけチャレンジしてみてほしいこと
そうは言っても、「ニガテな人」とわずかでも距離を置いてしまうと仕事にならないケースもあるだろう。
例えば、毎日何度もやりとりする直属の上司や、担当する最大手の取引先で実権を握る人など。
もし、そういった人と会話してるだけで体が震えたりするようなら、異動を希望するか担当替えしてもらった方がいいかもしれない。でも、その最終手段を取る前に、1つだけチャレンジしてみてほしいことがある。
相手のことを好きになってみるのだ──まあ聞いてほしい。
「いいところ」を見つけ出し、
その「いいところ」だけを見るようにする
あなたの身近にいるどう頑張っても「ニガテ意識」を消せない相手にも、必ずいいところがあるはず。それを見つけ出し、できるだけ「いいところ」だけを見るようにする。
そうやって、その人への「ネガティブな感情」を、自分でコントロールできる「顕在意識」上でポジティブに変換していく。
次に、その人に対する態度を変えていくことで、少しずつ「潜在意識」を書き換えるのだ──まるで、脳のプログラムを書き換えるように。
「ニガテな番組ディレクター」をどう攻略したのか
筆者は、この手を使って困難を乗り切ったことが何度かある。その理論を伝えるために、その体験の1つを赤裸々に書きたいと思う──レコード会社で働いていた20代の頃の物語だ。
厳しい数字のノルマに追われていた社会人3年目。ラジオ局に出入りし、PRを仕掛けるプロモーターをやっていた。
当時、音楽マーケットで大きな影響力を持つある局に、B氏という名物ディレクターがいた。笑顔は見せない強面(こわもて)で、声は低く態度は高圧的。筆者が最も嫌いな──いや、「ニガテ」なタイプ。もちろん近づきたくない。
しかし、彼は複数の人気番組の責任者だったので、どうしても攻略しないといけなかった。
彼は、局に出入りするどのレコード会社のPR担当も毛嫌いしていて、挨拶しても基本無視。躊躇(ちゅうちょ)してたら会話さえしてもらえない。その人の前だと恐怖で言葉が詰まってしまう。
ニガテだからといってあきらめてしまうと、自分が担当するレーベルのアーティストや曲が、彼の番組で取り上げられない。高い聴取率の番組なだけに、非常にまずい。
何度もアプローチを試みたが効果なし。もうダメかな……とあきらめかけた時、若い頃のB氏を知る先輩に相談した。するとこんなことを言った。
「無愛想だけど、可愛いところもあるんだよね」
その時、筆者は頭の中で無意識に「可愛い」を「カワイイ」に変換していた。そしてふと「最後のゲームだと思って、そのカワイイところを見つけてみよう」と思い立ったのだ。
「ニガテな番組ディレクター」のいいところ探しゲーム
これでダメなら担当を替えてもらおうと小さな決意を抱く。
その日から、「B氏のいいところ探しゲーム」が始まる。ゲームだと思うと少しだけ心が軽くなるから不思議だ。
ある朝のこと。いつも通り無愛想に仕事をするB氏の横顔が少し「寂しそう」に感じた──筆者の見方が変わったからだろうか。今日も寝癖のままで服はしわくちゃ──昨日までは何とも思わなかったのに、なぜか少し愛おしく思えた。
その瞬間から、これまでの「ニガテ100%」から「ニガテ99%+カワイイ1%」と小さな感情変化が生まれることになる。