中学受験熱が高まっているのは首都圏だけではない。公立校志向が強い関西でも2023年入試から“中受”ブームが到来。さらに自治体の政策で新たな受験者層の参入も確実視される。特集『わが子が成長する 中高一貫校&塾』(全34回)の#3では、関西における中学受験の24年入試を占う。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)
難関校と付属校は人気を維持
片や女子校は凋落傾向か
直近の2023年入試で首都圏の中学受験ブームが波及してきた、関西(2府4県)の中学受験市場。
23年入試の受験者数は、小学6年生の人口が減る中、1万7279人と前年から387人の増加に転じ、受験率も10.01%と0.27ポイント上昇し、14年ぶりに10%の大台を突破した(下図参照)。
この上げ潮は24年入試も継続するのか。
「受験者数では23年とほぼ同数の400人近い増加、受験率の方は10.2%に届くことも十分あり得る。特に大阪府の受験率が下がる要因は全くない」
関西の24年入試の行方について、そう断言するのは日能研関西の森永直樹取締役だ。
下図を見てほしい。日能研関西の9月実施の公開模試における受験者数を見ると、今年は昨年よりも伸びていることが見て取れる。
「けん引役は大阪府。特に東京の湾岸エリアと同じく小6人口の増加が著しい大阪市の受験熱が高まっている」(森永氏)。
アップの井上隆弘執行役員も同じ見解だ。「具体的には、少子化の中で公立小学校の生徒数が増えている大阪市天王寺区、中央区、北区、西区と、吹田市の千里中央駅周辺が大阪府の中学受験熱を高めている」(井上氏)。
では、どの学校が24年入試で人気を集めるとみられているのか。
「全体的な傾向として、灘(神戸市)など最難関校や難関校は23年入試に引き続いて人気を集め、関関同立の付属校も安定的な人気を維持するとみられる。一方で、凋落傾向が続く女子校は24年入試も苦しい」と井上氏。
森永氏は「アフターコロナによって、難関校を中心に強気な併願が23年入試と同じく継続し、付属校人気も高止まりするだろう。一方、中堅校ではこの9月時点で3校がぐっと伸びる可能性が高い」とする。
関西の24年入試における注目校はどこなのか?次ページでは、関西の中学受験を変えると言われる大阪府の高校授業料の完全無償化によって、逆風を受ける学校名と共に明らかにする。