2024年「中学受験」直前! わが子が成長する中高一貫校&塾#24Photo:PIXTA

過去最高レベルで激化している中学受験だけに、子どもや家庭への負荷も増している。「中受撤退」や「中受回避」という4文字が頭をよぎった家庭も少なくない。選択肢を増やす意味でも、最新の高校受験事情や公立高校の大学合格実績を正しく押さえておこう。特集『わが子が成長する 中高一貫校&塾』(全34回)の#24では、中学受験の中堅校と都立高校の大学合格実績の比較を公開する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

「週刊ダイヤモンド」2023年10月28日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

中受と高受のメリットを比較
わが子に最適な選択は?

「夜遅くまでの塾通いがつらそう」「子どもの成績が原因で家族が険悪に」──。中学受験をする子どもが増える一方で、「中受撤退」を検討する家庭も少なくない。実際のところ、中学受験と高校受験、私立中学と公立中学では何が違うのか。

 中高一貫校の長所は「6年間一貫した勉強ができて進度も速い」「留学や、スポーツに打ち込みやすい」「特色のある教育」などが挙げられる。友人と共に思春期の6年間を過ごすことで、絆が深まりやすいということもあるだろう。

 大学入試との関連で言うと、総合型選抜の増加は中高一貫校に有利だという声もある。

「中高一貫校は6年間の時間があるので、課外活動や部活などに打ち込みやすく、探究学習の部分でも有利になりやすい。秋田高校など戦略的に探究学習を進め、総合型に強い公立高校もあるが、まだまだ地方の公立進学校ほど一般入試至上主義な傾向がある。また、高校受験がないため、中学時代に海外体験も積みやすい」(大学通信情報調査・編集部部長の井沢秀氏)

 一方、公立中学から高校受験を選んだ場合のメリットには「小学校高学年を自由に過ごせる」「15歳時点での学力の担保」などがある。スポーツやピアノ、英語などの習い事を中学受験で中断しなくて済むという良さもある。もちろん、費用も私立中学と比較すれば安い。

 これらは家庭の教育観や、子どものタイプによって正解が異なる。保護者が中高一貫校出身で6年間を楽しく過ごしたか、そうでないかで見方も変わるだろう。

 とはいえ、比較をするためには正しい知識が必要になる。公立高校については、日比谷高校がすごいのは知っていても、それに次ぐ上位校の実情を知らない中学受験家庭も多いだろう。そこで本記事では最新の高校受験事情や、中堅の中高一貫校と都立高校の大学合格実績を紹介していく。

 中学受験の保護者を取材すると、「うちの子は内申点が取りにくいタイプだから高校受験は避けたい」という声を聞くことがある。この点について栄光ゼミナールの藤田利通・入試情報センター課長は「都立高の場合、調査書が3割、学力テストが7割。そこまで気にする必要はない」と指摘する。

「調査書も親世代と比較すると内申点の付け方に変化がある」と説明するのは、首都圏で高校受験を指導しており、SNSで高校受験のメリットを発信している東京高校受験主義氏だ。

 東京都の公立中学の成績は相対評価から絶対評価に変更されている。文京区など学力水準の高いエリアでは、5段階評価の5と4の比率が高く、学校間の学力格差による不平等は解消されつつある。

 都立高の調査書は各科目5段階評価で国語、数学、英語、社会、理科が1倍、副教科の音楽、美術、保健体育、技術家庭が2倍で計算され、合計は65で満点となる。体育や音楽が苦手な子には不利となるが「昔と違い、達成度や努力を見ている。前向きな取り組みとテストで、足が遅かったり、芸術センスがなくても4は狙える」(東京高校受験主義氏)という。

次ページでは、気になる大学合格実績を比較。中学受験の偏差値50前後の中堅校30校と都立高校上位30校の合格実績を分析する。早慶上理やMARCHの合格率は都立上位校と比較してどうなのか。中学受験か高校受験かで悩んでいる保護者はチェックしてほしい。