米国などの株価が伸び悩み、世界経済の不透明感が強まる中、市場では先行きに弱気な見方も少なくない。だが、米著名投資家ケン・フィッシャー氏は、次の上昇を牽引しそうなセクターを逃さず買う好機だと分析。質の高い大型グロース株に期待が持てると訴える。
足元のファンダメンタルズは
質の高い成長株に都合がいい
足元でどのような株式を買うべきだろうか?これまでのところ、2022年の下落局面で押し潰されたのと同じカテゴリーが、この若い強気相場の中でTOPIXや世界の株高のけん引役となってきた。これは、ほぼ誰も予見していなかった現実といえるだろう。
多くの懐疑的な人々が、宴の終わりは近いと確信し、世界中のファンドによる日本株の投げ売りを恐れ、TOPIXの23年の大幅上昇が終わる兆しだと騒ぎ立てる。
しかし、そんな見方は無視しよう。9月頃の株価のぐらつきは短期的なものだ。この強気相場の次の上昇を牽引しそうなセクターを逃さず買う機会として利用しよう。買うべきカテゴリーと理由は、以下の通りだ。
大型で質の高いグロース(成長)株――高級品やテックなど――が今年の上昇をこれまで牽引してきた。本来的に驚くべきことではないが、市場では驚きを持って受け止められている。下落時に最も打撃を受けたカテゴリーは、通常、回復序盤で最も反発する――私が以前の寄稿(『「高級品」企業の株価上昇は終わっていない、弱気局面こそ好機と米著名投資家が考える理由』参照)で解説した“反発効果”だ。
考えてみよう。世界のテック株は22年の下落局面で、高級品株と共に急落した後、昨年10月中盤に世界市場が円ベースで22年3月の底値を試し、ドルベースでは底を打って以降約4割上昇した。これは実に、世界株の上昇幅(24.0%)の倍近い。そして、昨年6月からの下落にもかかわらず、世界の高級品企業は同期間で依然2割超上昇している――今年前半の大幅上昇を経て、市場全体と同水準となっているのだ。
人々をおびえさせるようなニュースの見出しが、市場の動揺に拍車をかけている。テック株の値上がりは、衰えつつあるAIの熱狂に駆られた見せかけの上昇だとして退けられがちだ――世界的な金利上昇懸念を受けて、株式市場が今後弱含むという推測と並んで。
だが、実態は異なる。これは一時的な休止であり、昨年12月や今年3月にも見られたような、期待値が下がった局面から戻る動きである。当時も弱気派はだまされる格好となった。強気相場がしばしば直面する、「懸念の壁」というものだ。
コミュニケーション・サービスおよび一般消費財セクターにおける22年の下落とその後の反発は、テック株の動きによく似ていた。下落局面で、世界景気後退の懸念から大打撃を受けた資本財も同様だ。
そして、グローバル経済の低迷や中国景気の減速懸念といった足元のファンダメンタルズは、質の高いグロース株にとって都合が良い。なぜそう言えるのだろうか。