ドナルド・トランプ前米大統領は、判事や検察官を「悪党(チンピラ)」やサイコパスと呼んで攻撃し、万引犯の射殺を呼び掛け、米軍制服組トップの統合参謀本部議長を最近退いたマーク・ミリー大将を反逆罪で処刑することもできたと示唆し、昨年起きたナンシー・ペロシ下院議員(民主、カリフォルニア州)の夫への暴力事件に関する冗談を飛ばした。その間ずっとトランプ氏は支持者の怒りをあおった。支持者は概して同氏が迫害を受けていると考えている。「サイレントマジョリティー(物言わぬ多数派)はもう黙っていられない」。最近の資金集めのメールにはそう書かれていた。2016年にトランプ氏が政治的現象を巻き起こして以来、強気の物言いは定番だが、そうした発言のいくつかは今や法廷での代償を伴い、2件の訴訟でトランプ氏に「かん口令」を敷く事態となっている。共和・民主両党でトランプ氏に批判的な向きは、2020年の大統領選後に同氏の支持者らが連邦議会議事堂を襲撃したように、一連の行動がいずれ暴力の引き金になるのではないかと危惧する。また共和党支持者の多くはトランプ氏の言葉遣いを歓迎するにせよ、有権者の中でも中間層や特に女性の一部は反発するかもしれない(実際、2020年の選挙では拒否された)。
トランプ氏暴言で「かん口令」 大統領選に影響も
2件の訴訟の判事が扇動的発言を禁止、一部支持者も不安視
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