投資より効率的な収入の増やし方写真はイメージです Photo:PIXTA

老後2000万円問題や新NISAの開始などで、投資に対する注目度が上がっている。中には世界的ベストセラー『21世紀の資本』の著者で仏経済学者のトマ・ピケティを持ち出して「投資は労働より有利」と主張する人もいるが、果たして本当だろうか。人手不足が深刻化する時代のなかで、あらためて労働と投資の常識を問い直す。※本稿は、社会的金融教育家の田内 学『お金の不安という幻想 一生働く時代で希望をつかむ8つの視点』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

投資のリターンは
経済成長率を上回るが…

「投資は労働より有利」

 こんな誘い文句をよく聞く。投資を勧める人は、その根拠として有名な経済学者の名前を頻繁に持ち出す。

 ピケティが18世紀までさかのぼってデータを分析したところ、「r>g」の不等式が成り立つ、つまり、運用によって得られる富の方が労働によって得られる富よりも成長が早いとの結論に至っています(※注1)。

 こうした文章を読むと、つい「労働よりも投資をがんばった方が良い」と誤解してしまいそうになる。

 ピケティといえば、『21世紀の資本』で格差拡大の仕組みを解明した著名な経済学者だが、彼自身が、本当に「労働よりも投資をがんばった方が良い」と主張しているのだろうか?

 たしかに、彼は「r>g」という式を提示している。歴史的に見ると、投資の平均リターン(r)は約4~5%だが、労働収入を左右する経済成長率(g)は1~2%にとどまる。

 たとえば、年収300万円の人が1年がんばって給与が2%上がっても306万円。一方、資産1億円の富裕層は、何もしなくても年間400~500万円の投資収入を得る。

(注1)田中タスク「すぐ始められる!100万円から考える資産運用のおすすめ方法6選」三菱UFJモルガン・スタンレー証券HP