岸田首相は10月23日の所信表明で「経済」を29回も連呼するほど経済対策に力を注ぐ意向だ。首相肝いりの「物流革新緊急パッケージ」では、「置き配ポイント」なる目玉施策が打ち出されているが、本当に効果はあるのだろうか? データを踏まえて検証した。(トライオン代表 三木雄信)
岸田首相肝いり「物流革新緊急パッケージ」
効果の算出方法については大いに疑問
トラック運転手の人手不足が深刻化するなどの「物流2024年問題」に関する関係閣僚会議で、岸田政権は「物流革新緊急パッケージ」を取りまとめ公表しました。新しい経済政策にも組み込み、次の通常国会で法制化を図るようです。
このパッケージの中で、「置き配ポイント」なるものの経費支援が、目玉政策として注目されています。宅配便の再配達率が高いことへの改善策として、荷物を配達員から直接受け取るのではなく、コンビニ受け取りや宅配ロッカーなどを利用した「置き配」を選択した消費者にポイントを付与する仕組みです。
さて、プロジェクト・マネジメントの観点で最も重要なのは、「ゴール」です。同パッケージでは、「何も対策を講じなければ24年度には14%、30年度には34%の輸送力不足の可能性」と指摘。そこで下記の通り、複数の施策を急ぎ行うことで24年度に14.3ポイントの効果を生み出す、としています。
一見すると、ゴールが数値化され明確に定義されていて、素晴らしいと思いました。ところが、その効果の算出方法について深掘りすると、大いに疑問があると言わざるを得ません。
先述した置き配ポイント導入などによる再配達削減については、3.0ポイントの効果となっています。しかし、それほどの効果はないと筆者は考えます。その理由を、データを交えて解説します。