山崎まさよし“自然体”の押し付けが招いた「地獄のグダグダライブ」の是非物議を醸した山崎まさよしの「グダグダライブ」はなぜ起きたのか(写真はイメージです) Photo:Pixta

シンガーソングライターの山崎まさよし(敬称略)が、10月21日に水戸市で行ったライブの内容が物議を醸し、所属事務所から後日希望の観客にチケット払い戻しを行う旨がアナウンスされる事態となった。当日、氏がステージ上で返金対応について言及していたらしく、それが現実となったわけである。21日のステージで一体何があったのか。また、今回の件は各方面でどのように評価されるのかについて、音楽業界の表裏を垣間見てきた経験を基に考えてみたい。(取材・文/フリーライター 武藤弘樹)

ネットには批判と擁護の声
ファンはひたすら心配する

 当日のステージでの出来事をSNSで伝えようとしている人が複数いて、それらを読んでいくと何が起きたのかを大まかに知ることができる(早速余談だが、その人たちは皆会場に足を運ぶくらいには山崎まさよしが好きであり、当該ライブを受けて最も動揺しているであろうに、読む人に主観を押し付けないよう慎重に言葉を選びながらリポートを綴っていく様子は好ましく、「いいファンがついているのはアーティストの人柄なのかな」と思わされた。なお、筆者は特にファンではない)。

 そのステージの観客に溜まった不満はおおむね以下である。

・MCばかりで曲をやらない。2時間半で全8曲が演奏された(単純計算で約19分に1曲ペース)。

・話が散漫で、話題があちこち飛ぶ。中には聞き手に不快感を催させ得る内容のものもあり。

・演奏のクオリティが低かった(「ミスが多く覇気がない」などの声あり)。

 どうやら、良く言って「ゆるい」、悪く言って「グダっている」ステージだったと察せられる。なお氏はライブ中に、その日はあまり歌いたくないこと、MCと客席との会話を多めにしたいことを何度か話していたそうである。