成功する人ほど甘え上手!“お願い”より成果を残せる「甘えの作法」とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

大きな成功を納めている人や、心底ビジネスを楽しんでいる人ほど「甘える力」を使いこなしています。「人に甘える」という言葉は、奥深くちょっと戦略的で、でも温かみのある素敵な言葉です。

※本稿は、高瀬敦也『スキル』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を抜粋・編集したものです。

甘える力

 まず、最初に「もっと甘えて良い」と思います。真面目な人ほど「甘えたら迷惑なんじゃないか」と考えます。手堅いタイプの人は「むやみに甘えると借りをつくってしまう」とも考えます。人に甘えることは、家族や親族、長い付き合いのご近所さんには許されても、ビジネスの現場ではなかなか使えないコミュニケーションのように思われているかもしれません。

 しかし、大きな成功を納めている人や、心底ビジネスを楽しんでいる人ほど、この「甘える力」を軽やかに使いこなしています。それはもう本当に華麗なほどです。この「人に甘える」という言葉は、考えれば考えるほど、奥深くちょっと戦略的で、でも温かみがあって素敵な言葉だなと感じています。

甘えることで能力を拡張する

 なぜ人に甘える必要があるのでしょうか。まず、「人が一人でできることは限られているから」です。ビジネスではなおさらです。能力的にはもちろん、時間的にも限界があります。色々なことをやろうとしたり、生産力を上げようとすればするほど、誰かの力が必要です。それでもほとんどの人は、まず「自分一人でスタート」します。そして「なるべく自力でやって足りないところを他人に頼ろう」という順番で考えます。ですから、まず、どんなことでも「可能なら自分ですべてをやり遂げる」という考えを捨てて、「必ず誰かを頼る」と考えてスタートすることをお薦めします。

 また、「頼る」という言葉だと相手の都合を考えすぎたり、貸し借りを考えたり、人によってはプライドが邪魔するなんてこともあるかもしれません。ですので、「頼る」「お願いする」のではなく「甘える」という言葉に置き換えるとハードルが下がります。なにかするときは「必ず誰かに甘える」つもりでスタートしてしまうのです。

 そう考えると、まず自分のキャパシティーを考えずに済みます。何かはじめるとき、多くの人が自分のキャパシティーを考えて、その限界から逆算をはじめてしまいます。「能力的にそんなノウハウがない」とか「時間的に忙しいからできない」と考えるのがオチです。誰かに甘えることを前提にすると、能力も時間も理屈的には無限に拡張できます。無限に拡張できると思えば、さまざまな挑戦に対して柔軟に対応できるようになります。

 また、キャパシティーを拡張すること以外に、自分では気付かなかったアイデアやヒントを得られます。これは「人を巻き込む」という物事の進め方で、詳しくは前著『企画』でお話しているのでよろしければ読んでいただければと思います。「巻き込む」というニュアンスは、「自分がすることの伴走者だったり当事者にまでなってくれる」ということです。

 ほとんどの人は、人の能力は「個の中にあるもの」と認識しています。しかし、実際に人の能力というものは「周囲にいる人たちの能力も含めた総合力」です。たとえば有名な建築家はたくさんの建物をつくっていますし、有名な料理人はたくさんのお店を開いてたくさんのお客さんをもてなします。でも、すべてその有名人の個人の能力で完結していることはありえません。映画も分かりやすい例でしょう。撮影技術やCG、セットのデザインや構築、そして宣伝など様々な人のノウハウが提供されています。でも多くの人には「○○監督の作品」と認識されます。

 このように、キャパシティーはもちろんですが、アイデアやノウハウなども周囲の人が提供している場合が多くあります。でも世の中の人は、出来上がった映画や建物や料理は「○○さんの成果だ」と個人の能力として認識します。人を巻き込んだ仕事は、結果として個人のノウハウや財産にもなっていきます。