米国ではホワイトカラーの労働市場が軟化し、企業は自主的に離職する社員が少なすぎるという問題に直面している。「グレート・レジグネーション(大量離職)」時代には考えられなかったことだ。一部の大企業では離職率が急低下したため、特定の部門で予算超過が発生しており、幹部は年末が迫る中、プロジェクトの延期や追加の人員削減を検討せざるを得なくなっている。一方で、社内の空きポストが大幅に減って人事異動がこれまでより難しくなり、スター社員の満足度をいかに保つかに悩む上司もいる。銀行大手バンク・オブ・アメリカや製薬会社フェリング・ファーマシューティカルズなどの企業では、今年は離職者がこれまでより少ないという。一部の企業の幹部によると、離職率がコロナ禍前の水準に戻りつつあるという。