人は誰しも「頭がいい」と思われたい。だから、他人との会話では、知らないことを「知っている」とうそぶいたり、それらしいことを言ったりして見栄を張る。しかし、どんなに表面を繕っても、目の前の相手には「この人、全然ものを考えていないな」とすぐバレてしまうものだ。どうすれば「本当に頭のいい人」になれるのだろうか。
そこでいま「もっと早く読んでいればと後悔すらした」「ぶっ刺さりすぎて声でた」と話題を呼んでいるのが、2023年ベストセラーランキングビジネス書部門で1位(日販/トーハン調べ)に輝いた『頭のいい人が話す前に考えていること』だ。
今回は、本書の著者・安達裕哉氏に、「自分の頭で考えている人」「他人の受け売りをしているだけの人」を見分ける方法について聞いた。(初出:2023年11月15日)

「自分の頭で考えている人」と「受け売りをしてるだけの浅い人」を一発で見抜く“すごい方法”【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

「具体的なエピソード」を詰めていくと一発でわかる

――安達さんはコンサルタント時代に面接官をやっていたそうですが、目の前の相手が「コンサルに向いているか」を判断するポイントはありますか?

安達裕哉氏(以下、安達) 「自分の頭で考えるクセがついているかどうか」という1点に尽きると思います。コンサルに向いていないのは、自分の頭で考えて、自らの裁量で仕事を取ってくるのが苦手な人。言い換えれば、仕事が上から降ってくるのを待っている人です。

――それを、面接でどうやって見分けるんですか。

安達 たとえば、「過去の仕事のエピソード」を具体的に聞いていくとすぐわかります。割り振られた仕事をこなしているだけの人は、自分の頭で考えて行動していないので、具体的なエピソードが全然出てこないですし、自分の言葉で答えられません。

 だから、どこかで聞いたことがあるような受け売りの話や、「お客さんに合わせて、適切な対応を心がけました」という抽象的な回答しかできないんです。

――『頭のいい人が話す前に考えていること』の中でも言及した、賢いフリをするというか、「それっぽいこと」を言う人ですね。

安達 そうですね。何かを言っているようで、実は何も言っていないんです。

 でも、自分の裁量で仕事をしている人は日々頭を働かせているので、「なぜこんな行動を取ったのか」「上司と交わした議論の内容」などについて鮮明に覚えています。

――仕事に主体性があるから、記憶が曖昧じゃないんですね。

安達 その通りです。なので、話の具体性や説得力に雲泥の差がありますし、実際に一緒に働いてみても、やはりよく考えて仕事をしていますね。

――つまり、できるだけ具体的に話を聞くというのが、「自分の頭で考えている人か」を見抜くコツなんですね。

安達 そうなんです。たとえば、関わったプロジェクトを挙げてもらった後に、「そのプロジェクトでの役割」「会議でどんな発言をしたか」「最初の1ヵ月で大変だったこと」を具体的に詰めていくと、ごまかしようがないですね。

――たしかに、そこまで突き詰められると、面接でどんなに取り繕おうと思っても不可能ですね。

安達 なので、自分の仕事に対する解像度の高い人と低い人は、実はものすごく区別がつきやすいんです。

(本稿は、『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者・安達裕哉氏へのインタビューをもとに構成したものです)