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多くの人にとって日常生活に溶け込んだ存在になっている一大古書チェーン・ブックオフ。実は、同社が採用している「出し切り」と呼ばれるシステムが、特有の商品棚づくりに一役買っている。ブックオフが持つ「なんとなく性」とはどういうものか。チェーンストア論で注目を集める新進気鋭の書き手が綴る。本稿は、谷頭和希『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)の一部を抜粋・編集したものです。
ブックオフの社会的意義は
「なんとなく性」にある!?
ブックオフの社会的・文化的意義とはどこにあるのか――。それを解く鍵は、ブックオフが持つ「なんとなく性」にあるのではないか――。
ブックオフ。1990年から営業を開始した古本屋チェーンです。現在では創業30年を超え、国内店舗は800店弱ほど。古本屋としての事業以外にも東京・表参道にある新刊書店・青山ブックセンター(ABC)の運営、ブックレビューサイトの「ブクログ」の運営など、幅広い事業をおこなっています。
本だけでなく、CDやDVD、家電から果てはブランド品まで、さまざまな中古品を扱う総合リサイクルストアとしても有名になっています。創業当時は、古本業界の革命児として扱われ、その斬新な買い取りシステムが高く評価されました。
私にとってブックオフとは、特別な書店空間ではありませんでした。遊園地のように、そこにいくことが特別性を帯びているわけでもなく、休日に気合を入れていくような場所でもありません。気づいたらふらっと行っている、そんな「なんとなく」の場所でした。
一方で、そのような場所は「なんとなく」あるがゆえに、記録として残されにくいという特徴があります。例えば、書店空間についての言説でも、新宿にある紀伊國屋書店や個人経営の趣がある古書店などは記録として残されやすいでしょう。そうした書店にフォーカスした本や記事は数多くあります。しかし、わざわざブックオフを取り立てて語るということはなかなかありませんし、ともするとその場所は語られないままになってしまうのではないでしょうか。
しかし、語られない、ということはイコールその場所に価値がない、ということではありません。私はこの場所によく足を運んでいるということもあって、どうにかしてこの場所を語り、言葉として残すことができないかを考えるようになりました。あえて、この「なんとなく」ある場所を言葉にしてみたいのです。
そして、その際に重要な考え方として私が提出したいのが、ブックオフにある「なんとなく性」です。
「なんとなく性」とは何でしょうか。「なんとなく」、つまり「目的がないこと、はっきりとした理由がない」ということ。ブックオフの棚には「明確な目的」があるわけではなく、「なんとなくそこに存在している商品」が多くあります。
これを説明するためには、ブックオフの買い取りシステムを考える必要があります。ブックオフの買い取りシステムは「出し切り」と呼ばれていて、それは「買い取った商品は、必ずその日のうちに加工して棚に並べるという鉄の掟」です(「ブックオフ創業30周年記念!スペシャル座談会――8人の社員たちが語る、創業から未来まで」2020年5月14日「ブックオフをたちよみ!」)。







