留意点:コーヒーには優れた健康効果・
メリットも期待できる

 先に、誤解のないように述べておかなければならないのは、マットさんは「コーヒー(やチョコレート)は健康に良くないから」といった考えからの行動ではありません。

 実際コーヒーには、優れた健康効果が期待できることが、さまざまな研究結果が報告されているのも事実であり、チョコレートに至っては精神的・肉体的の両面から健康効果が期待できるという報告もあります。マットさんはそのことを認識しながらも、実際カフェインに依存しすぎている自分にも気づいていました。

【おさらい】そもそもカフェインとは?
アデノシンの作用について

「コーヒー断ち」を30日続けたら体はどう変わる?挑戦者を襲った「2日目の悲劇」Photo:Getty Images

 カフェインの構造は、アデノシンという化学物質の構造と似ていますが、アデノシンは体内に入ると脳の受容体(細胞膜表面や細胞質、核内に分布し,細胞外からの各種生理活性物質を特異的に認識して結合。生理活性物質の情報を細胞内やDNAへと伝達するタンパク質)に結合し、眠気を促すなどの作用を持っていることが報告されています。

 そこでコーヒーやお茶を飲むことで、カフェインがその受容体と結合してしまい、その代わりにアデノシンが結合しにくくなります。そうして(気分の高揚をともなった)覚醒状態が続くことになることが研究によって報告されています。

 そしてコーヒーを飲めば飲むほど、脳内のアデノシン受容体は増加し、結果として覚醒状態を維持するために必要なカフェインの量も増えていくという見解も報告されています。

 そこで節制を続ければ、もしくは1日に1~2杯という適量に抑えることができれば、次第に受容体の数は正常なレベルまで減少し、ひどい頭痛のような感覚も遠ざかっていくことが期待できるのです。これは良いニュースと言えるでしょう。

初日・2日目:カフェイン断ちがもたらす頭痛「32時間経って突然襲ってきた」

 マットさんは、「初日は、とにかくコーヒーを連想させるあらゆるモノ(コーヒー豆・コーヒーサーバーなど)を目の届く場所から片づけました。“コーヒーが飲みたい”と思わせる、トリガーとなり得るすべてです。その甲斐(かい)もあり、カフェインを断つという強い意思と高い意識があったからかもしれせんが、時間が経つスピードも早く、難なく1日目を終えることができました」と言います。

「私の場合、問題は2日目でした。挑戦を始めて32時間経過したところで、それは突然現れました。頭痛が私を苦しめ始めたのです」。