「働き方改革関連法」が施行されて以来、多くの企業が生産性の向上や残業時間の削減に取り組んでいる。そのため各企業の管理職層は「チームに残業をさせずにメンバーの成長を促しつつ、成果を上げる」というジレンマを抱えるようになった。かつて残業三昧の日々を送っていた石川和男氏は現在、残業ゼロで5つの仕事を掛け持ちするスーパーサラリーマンとして活躍しているという。そんな石川氏が提唱する“残業しないチーム”の習慣を紹介する。本稿は、石川和男『「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣』(明日香出版社)の一部を抜粋・編集したものです。
5つの仕事とプライベートを
充実させるために「残業しない」
私は現在、5つの仕事をしています。建設会社の総務経理、大学講師、セミナー講師、コンサルタント、そして税理士。建設会社は、月曜日から金曜日の朝8時30分から夕方5時まで。その他の仕事は、平日の夜や土曜日にしています。またプライベートでは、友人と飲み会や遊びに出かけ、家族とカラオケに行って、家ではDVDを観るなど、人生を楽しく過ごしています。
このように楽しく充実した人生を送るためには、メインである建設会社の仕事を定時で終わらせなければなりません。ここで残業してしまうと、他の仕事にしわ寄せがきて、遊ぶ時間どころか睡眠時間もなくなってしまいます。建設会社は、協力会社を含めて100億円の売上がある企業です。そこでの総務経理を担当するプレイングマネージャーである私が、そんなに暇なワケはありません。
では、どうやってチーム全体が夕方5時までに仕事を終わらせるのか? 詳しくは後述しますが、どの仕事も効率的に片づけ、探しものを減らし、チーム全体を見える化し、誰が何の仕事をしているか共有する。そして、会議や打ち合わせのムダを徹底的に省くことで、チームの残業を減らしているのです。
本稿は「チームが主役」です。チームの力を最大限に引き出すことで、チーム全体で成果を上げる。残業しないチームになって、メンバー全員が充実した人生を楽しむことを目的にしています。
・事務所も机もPCも、頭の中までゴッチャゴチャ。探しものが多い!
・うちのチームは、遅くまで残業する人と早く帰る人に分かれている!
・会議が長い、結論が出ない、雑談が多い!
・たくさん仕事をしているのに、なぜか残業してしまう!
・部下に覇気がない、やる気がない、新入社員の気持ちがわからない!
こんな悩みを解決する習慣を用意しました。世の中の働き方は大きく変わってきています。
長時間働く人が会社に貢献している時代から、短時間で成果を出す人が重宝がられる時代に。何時間も働いて成果を出す人は無能で、「ワーク・ライフ・バランス」を取りながら働く人が有能という時代へ、確実に変化してきています。これからは、量より質、時間より成果の時代になるのです。「24時間戦ってでも成果を出しなさい」という時代から、「限られた時間の中で成果を出しなさい」に変わってきています。「残業してでもいいものを」という時代から、「残業しないでいいものを」に変わってきているのです。私のチームが実践している「残業しない習慣」がお役に立てれば幸いです。