運動したい、でもできない……。そこで本連載は論文マニアとしても有名な大谷義夫先生(医師)が、82の論文、世界の最新エビデンスをもとに正しく効果的な歩き方を書いた本『1日1万歩を続けなさい』から、今日から役立つ「歩き方のコツ」をお伝えします。ウォーキングは体にいい。それはたしかに事実です。でも実は「ただ歩くだけ」では効果が出にくいことをご存じでしょうか。同じ歩くなら「科学的な歩き方」で「最大効果」を手に入れる。ここを目指してみてください。
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水とコーヒー、どちらが効くか?
1531年に設立された歴史あるスペインのグラナダ大学の研究グループは、20代から30代の健康な男性15名を対象に、カフェインと有酸素運動の関係を調べました(※1)。
水に溶かしたカフェイン水とただの水。
味やにおいを含め見た目はどちらも同じです。
メンバーにはどちらかを明かさず、この水を朝または夕方飲んでから運動してもらい、その後の最大脂肪酸化率(脂肪が燃えたかどうか)を調べました。
カフェインには脂肪燃焼効果がある
実験は7日間隔、次の4回行われました(下図参照)。
①朝8時にカフェイン水を飲んで30分後に有酸素運動を行う
②夕方5時にただの水を飲んで30分後に有酸素運動を行う
③朝8時にただの水を飲んで30分後に有酸素運動を行う
④夕方5時にカフェイン水を飲んで30分後に有酸素運動を行う
その結果、ただの水に比べてカフェイン水を飲んだときは、最大脂肪酸化率が午前中は10・7%、午後は29%上っていたことがわかりました。
午後の方が脂肪は燃えていましたが、カフェインの効果は午前も午後もはっきりと出ていたことがわかります。
歩く30分前にカフェインをとると脂肪が燃える
そこで私は「歩く30分前のコーヒー」をおすすめしたいと思います。
ちなみに私のモーニングルーティンは、どんなに忙しくても駅前のスタバにコーヒーを買いに行くこと。
ときにはテイクアウトをせずお店でゆっくり楽しみますが、この実験結果を見ると、お店でコーヒーを楽しんだら30分間読書を楽しみ、それから歩き出せばダイエットになりやすいことがわかります。
これからは私も休診日にはこれを試してみようと思っています。
※本稿は大谷義夫著『1日1万歩を続けなさい』より、一部を抜粋・編集したものです。本書にはウォーキングの効果にまつわるさまざまなエビデンスと、具体的かつ効果的な歩き方が紹介されています。
※1 Ramirez-Maldonado M, et al. Caffeine increases maximal fat oxidation during a graded exercise test: is there a diurnal variation? J Int Soc Sports Nutr. 2021 Jan 7;18(1):5. doi: 10.1186/s12970-020-00400-6.