視野が欠損する緑内障
「飛蚊症」がきっかけで発見
大中誠之関西医科大学附属病院眼科准教授
緑内障は眼圧が高くなり、繊細な視神経が傷つくことによって起こります。視神経が傷つくと、視野が狭くなったり視力が低下したりするなどの症状を発症します。放っておくと失明にも至る怖い病気ですが、40歳以上の方の20人に1人はかかっているという報告もあります。
筆者の友人は、この緑内障を50台前半で発症しました。最初は、視野に何かゴミのようなものが見えたので眼科に行ったのが、この病気を発見するきっかけとなりました。
「それは、飛蚊症（ひぶんしょう）という症状です。視野にゴミのようなものが見える症状で、硝子体（しょうしたい）という眼球内を満たしているゼリー状の組織に濁りが生じたときに起こります。さまざまな病気で起こりますが、老化により硝子体が変性して、網膜との癒着がはがれるときには皆さんに起こります。また、その際には網膜を引っ張るので、網膜剥離が起こることもあります」
友人はその眼科で網膜に異常があるようだと言われ、紹介された大きな病院で検査を受けたところ、網膜が破れる網膜裂孔（れっこう）と診断されてレーザーで処置をする手術を受けました。そして、その際に眼圧が高く、緑内障の疑いもあると診断されました。
「緑内障は、眼圧が高くなって視神経が傷つくことによって発症します。ご友人の場合は検査によって発見されたようですが、自覚症状がないまま進むことの多い病気です。視野の一部が見にくくなって気がつく人もいるのですが、その時点ではかなり進んでしまっているという怖い病気です」
友人はその後、数種類の点眼薬で進行を抑えるという治療を行ってきましたが、眼圧が下がらないので2021年に手術を受けました。
