視野の中心部が黒く見える
加齢黄斑変性とは
白内障や緑内障ほど知られていない目の障害に、加齢黄斑変性があります。この障害はその名の通り、加齢によって網膜の中心が変性し、視力が低下する病気です。発症率は低いものの、高齢化社会になるにつれて患者が増えつつあり、問題視されています。大中先生は、この加齢黄斑変性が専門です。
「網膜の中心が変性、あるいは網膜の中心に悪い血管が生じて網膜に出血や水たまり、むくみができ、視野の中心部が黒くなって見えなくなったり、歪んで見えてしまったりするのが加齢黄斑変性の症状です。この病気にかかってしまい、一度悪化してしまった視野や視力を元の状態に戻すことは非常に困難です」
視野の中心が見えなくなるということは、鏡で自分の顔を見た際に真ん中にある自分の顔が見えなくなったり、話をしている相手の顔が見えなくなってしまったりするということになります。緑内障は外側の視野から欠損する病気ですが、加齢黄斑変性は緑内障と併発することはないのでしょうか。
「ケースは少ないのですが、実は併発することはあります。つまり、視野の中央部と外側が欠損してしまうということなので、視野がほとんどなくなっていってしまうことになります」
白内障は水晶体を人工の眼内レンズに取り替えることで視力は回復しますが、加齢黄斑変性は網膜を取り替えることができないため、緑内障と同じように進行を食い止める治療しかできません。
「治療法としては主に加齢黄斑変性の原因となる脈絡膜新生血管の成長を抑制する薬剤を目に直接注射する抗血管新生療法、特殊な薬剤を静脈注射し弱いレーザーをあてて脈絡膜新生血管を退縮させる光線力学的療法があります。これらの治療により脈絡膜新生血管を抑え込み、出血や水漏れを減らすことで視力の低下を防ぎます」
抗血管新生療法は最新の治療法。新しい薬剤が開発されてきており、進化しているといいます。緑内障も加齢黄斑変性も進行を止める治療しかできませんが、早期に発見できれば症状は軽くてすむこともあります。やはり、眼科での定期検診が最も良い対策でしょう。







