夜明け前に、とても早くに目が覚めて、全員寝ているのに自分だけが起きているという孤独な感じです。自分の感覚とも重なって、私はこのサギのことがわかったような気がしました。
―俳句を詠みはじめてから、自然に対する見方は変わりましたか?
はい、大きく変わりました。私は自然をより愛しく感じるようになりました。自然と一体化するような感覚です。ですが、自然が自分に十分に染み入っているとは、まだ思っていません。もしかすると、人生最後の日までできないかもしれませんが、そうなれればいいなと思っています。
私が俳句を理解するために、自然に触れて一体化することはとても役に立ちました。ある意味で宗教的な行為なのかもしれません。あるいは、超自然的な行為というべきかもしれません。私は俳句を通して自分の気持ちをほかの人と共有することができますし、読んだ人は私の感じたことを掴み、理解するのです。これはとても驚くべきことです。
ベランダの窓から見た
爆発後の光景
耳詰まる
突如の静寂
雪は血に
―この句は戦争がはじまってから詠んだものですね。
ベランダの窓から見た光景です。激しい爆発があり、その後、静寂が訪れました。信じられないような静けさです。この静けさは、ただ単に静かなときというよりも、はるかに深いものでした。夕焼けに雪が赤く染まるのを目にしました。それは、私に人の死を連想させました。3月初旬だったと思います。キーウの冬は終わっておらず、まだ新雪が降り積もっていました。突然敵がやってきて、民間人を殺し、兵士を殺しました。
私は、キーウ郊外が占領されたときに、そこから脱出しようと試みた人たちの話を聞きました。彼らは道路に沿って横たわっていた遺体を見たそうです。その話を聞いてから外に出て、血のような夕焼けを見たので、すべてが不気味に感じられました。
―キーウがミサイルで攻撃されていた頃ですか?
そうです。最初の犠牲者が出たときです。人びとは街を脱出しなければならなくなりました。
いまの私たちはもうなんとなく慣れています。ですが、最初はこれがなんなのかが理解できませんでした。キーウが爆撃されていたり、住宅の上空でミサイルが爆発したりしていることが理解できませんでした。
―2月24日に戦争がはじまったことを知ったとき、どう感じましたか?