日本はスパイ対策も人手不足
日本は「スパイ天国」と揶揄されるように、他国のスパイが活動しやすい国です。原因は、人手とお金の不足。いまから、CIAのような独立の情報機関を設立するのは難しいとしても、現在の公安により多くのリソースを割くことで事態は改善することができると思います。私が公安部外事課に所属していたときも、情報提供があったにも関わらず、対応できないケースが少なくありませんでした。
私が他国のスパイを監視する現場にいた経験から言えることは、外事警察が事前に潰したスパイ・テロ事案がたくさんあるということ。もちろん、未然に防いでいるので、これらが報道されることはありません。
「スパイ活動防止法」のような法律がないことも問題です。スパイ活動をしても刑法などの法令に触れることがない限り、逮捕することはできません。これでは、外事警察が追ってきたとしてもスパイたちはまったく怖くないのです。日本における防諜に対する理解が深まり、法律も資金も他国並みの水準まで引き上げられることを切に望んでいます。
『諜・無法地帯 暗躍するスパイたち』（実業之日本社）勝丸円覚 著 定価1760円
