世界最強の諜報機関は「CIA」

 それでいうと、アメリカのCIAは資金・人材・育成、すべてにおいて群を抜いていました。

 私が外事警察としてアフリカにいたとき、ある格闘技の世界チャンピオン級がCIAにいたのですが、明らかに殺傷能力が高そうでした。靴下に小さいナイフを忍ばせていて、非常に高いレベルまで訓練されていると感じました。私のことはその気になれば瞬殺できたでしょうね。

 日本の公安は「警察官になった人」から選抜されますが、CIAは才能を持つあらゆる人に対して直接スカウトしにいくので、偉才ぞろい。私が会った人の中に、仏教の研究で博士号を取得していた人もいました。「諜報がてら仏教国を回れるから楽しい」とか言ってましたね。

 世界チャンピオンの彼は「ちょっと気になることがあるからナミビアに行ってくるわ」という感じで世界中を回っていました。資金力も日本の警察とは、雲泥の差があると感じました。

 お金だけではありません。時間的な余裕も外事警察とは格段の差がありました。私の場合は、大使館勤務もしていましたから、日本人のパスポートの再発行とか、日本に行きたい現地の人のビザの審査も私がしていました。諜報活動はその合間に兼務する形です。一方のCIAは、兼務なんてしません。諜報を専門としており、それに割く時間をたくさん持っていました。

 日本に来るCIAの諜報員は日本語が信じられないくらい上手です。彼らはイマルジョン法という習得したい言語以外の言語を遮断する方法で短期間で語学を日常会話レベルまで一気に習得するそうです。そもそも日本に来る諜報員は日本への留学経験もある人が多いので、日本の文化や言語に対する素地があることも大いに関係あるとは思いますが、それでもCIAは群を抜いています。

 世界水準の個人の能力とそれを活かしきる圧倒的な資金力は、さすがだなと舌を巻くしかありませんでした。