「国を守りたい」
きかっけは″あの″スパイ映画

 国を守りたいと思ったきっかけは、みなさんもご存知のあのスパイ映画でした。「こういう敵から日本を守らないといけない」と思いましたね。同時に「自分がやらねば」という使命感も感じました。

 映画に出てくるスパイは高級スーツをかっこよく着こなし、愛車のアストンマーチンは水の上も走ってしまう。おまけに美女とキスをする。単純に憧れました。

 公安に入った後で打ち砕かれた幻想がもう一つあります。それは、イギリスのMI6があまりに庶民的だったこと。私が会った諜報員は、大衆車のデミオに乗っていましたね。いい車だと思いますが、MI6が乗っている姿には少しがっかりしました。

 冗談はさておき、世界の諜報機関でいうと、実はMI6は意外と存在感が薄いです。特に日本とイギリスは、日米安保のような強い同盟があるわけではないので、関わりを持つことも少ない。諜報員もどこかよそよそしい感じがしました。