運動したい、でもできない……。そこで本連載は論文マニアとしても有名な大谷義夫先生(医師)が、82の論文、世界の最新エビデンスをもとに正しく効果的な歩き方を書いた本『1日1万歩を続けなさい』から、今日から役立つ「歩き方のコツ」をお伝えします。ウォーキングは体にいい。それはたしかに事実です。でも実は「ただ歩くだけ」では効果が出にくいことをご存じでしょうか。同じ歩くなら「科学的な歩き方」で「最大効果」を手に入れる。ここを目指してみてください。
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朝食、なにを食べていますか?
朝食にはいったい何がいいのでしょうか。
高知大学の研究チームは、大学のサッカー部に所属する男子学生50名を3つのグループに分け、朝食と日光浴が睡眠・精神衛生に及ぼす影響に関する調査(※1)を行いました。
グループへの指示は次のようなもので、それぞれ1ヵ月後の体調を比較しました。
気分アップ、寝起きスッキリになった食材とは?
グループ①:何も指示しない
グループ②:1ヵ月間、納豆とバナナの朝食をとる
グループ③:1ヵ月間、納豆とバナナの朝食をとり、食後に30分間太陽光を浴びる
するとこの実験で、グループ③にはっきりとした変化が現れました。
1日中気分がよく、寝起きもすっきり、早寝早起きになっていたのです。
「セロトニン」の生成がポイント
これは大豆に含まれる「トリプトファン」とバナナに多く含まれる「ビタミンB6」が、朝日を浴びることで体の中で「幸せホルモン セロトニン」に加工された結果でしょう。
トリプトファンからセロトニンを合成する過程では、ビタミンB6が補酵素として働くため、ビタミンB6の摂取も間接的にセロトニン合成に関与するのです。
しっかり朝日を浴びる
ぜひみなさんもトリプトファンとビタミンB6たっぷりの朝食をとり、朝日を浴びてウォーキングをしてみてください。
気分が上がり自律神経やホルモンバランスが整うのを実感いただけると思います。
※本稿は大谷義夫著『1日1万歩を続けなさい』より、一部を抜粋・編集したものです。本書にはウォーキングの効果にまつわるさまざまなエビデンスと、具体的かつ効果的な歩き方が紹介されています。
※1 和田快, 他.高知県内の運動部所属大学生への朝食・光曝露介入が介入中の睡眠・精神衛生に及ぼす影響.日生理人類会誌2010;15: 97-103.