BBクリームを顔に塗布する男性写真はイメージです Photo:PIXTA

近年、“メンズメイク”を始めるミドル男性が増えていることをご存じだろうか。メイクと聞くと「女性的なかわいらしい顔になってしまうのでは?」と不安視する男性もいるだろうが、“メンズメイク”は従来のメイクとはまるで違うアプローチで、男性の美しさを自然に引き出す行為なんだとか。さらに、メンズ用のコスメには、初めてメイクに取り組む男性がおっくうにならないための工夫がさまざま施されているという。(清談社 鶉野珠子)

コロナ禍でメンズメイクを
始める男性が増えた理由

“メイク”と聞いて、「主に女性がする行為」「顔を派手派手しくするもの」といったイメージを抱く人は多いだろう。確かにメイクをすれば、アイシャドーやアイライナーで目を大きく見せたり、チークで頬に色をつけたり、口紅で唇を鮮やかに彩ったりもできる。顔に色や線を足していくので、ノーメイクの状態よりも華やかな印象になるわけだ。

 こうした認識のまま“メンズメイク”という言葉を耳にすると、「男性に派手なメイクを施し、中性的な顔にする行為」と思う人もいるかもしれない。しかし、メンズメイク研究所のヘア&メイクアップアーティストである高橋弘樹氏は「昨今の“メンズメイク”は、従来の“メイク”とは別物なんです」と話す。

「従来の“メイク”が顔のコンプレックスをカバーし、その上でよりデコレーションしていく作業だとすると、“メンズメイク”はコンプレックスのカバーの段階がひとまずのゴールです。もちろん、アイシャドーやリップなどを取り入れて派手にしていく、従来のメイクを好む男性もいます。しかし、ミドル世代のビジネスマンの場合、『自分の肌の悩みをカバーして、フラットな状態に持っていく行為』として、“メンズメイク”をしている人が多いと感じますね」(高橋氏、以下同)

 2020年に新型コロナウイルスの感染が拡大すると、人々の生活様式の変化にあわせて、30~50代のビジネスマンの美容への意識も変わったという。

「コロナ禍でメンズメイクをやり始めた男性が増えました。きっかけはオンライン会議の普及とマスク生活という二つです。オンライン会議などでモニターに映る自分の顔を目にしてシミやシワが気になったり、マスクによって目元のクマが目立つように感じたりと、肌悩みに直面する男性が増えたわけです。さらに、コロナ禍はステイホームが推奨されていた時期なので、慣れないメイクを練習する時間もとれました。メイクをする動機と環境が整い、自分が使うためのコスメを手に取る男性が増えたのです」