「日本での開発支援についても、まさにディスカッションをしている最中です。メタバース・プロダクトの開発をしているチームのチップであるヴィシャール・シャーは、元々Instagramの開発トップでもありました。その時に彼は、米国外では初めて、日本に開発チームを置くという決断をしました」

「日本のユーザーはエンゲージメントが高く利用者も多いので、そこから定性的・定量的なリサーチを行い、インサイトを抽出した上でプロダクト開発を行いました。そうした経験が彼にあるので、『日本にもなんらかの開発機能を持たせたい』という話はしていました。現在、その方向でディスカッションを進めているところです」(味澤氏)

VR用機器「Meta Quest 2」(Oculus Quest 2)
VR用機器「Meta Quest 2」(Oculus Quest 2)

日本でのチャレンジという意味では、同社のVR用機器「Meta Quest 2」(Oculus Quest 2、社名変更により商品名も変更)が重要なデバイスとなる。実は「Facebook日本法人」としては、この製品の販売こそが大きなチャレンジでもあった。

「実はこの2年間、弊社の中では、マーケットの状況も踏まえ、新たな雇用を抑えていた部分があります。しかし、Questに関するセールス、マーケティング、カスタマーサービスの部分は例外です。積極的に人材を雇用してきました。日本の流通、特に家電流通は特殊な部分があるじゃないですか。流通との関係や販売チャネル開発が非常に重要である、という認識を私も当初から持っていました」

「ですから日本でのローンチについては、私もチームに入って綿密に進めてきました。Facebookはハードウェアを量販店に卸して販売する、という経験がありませんでしたから、今まで弊社が採用してこなかったタイプのスキルを持つメンバーを雇用し、流通構造を作ってきた部分があります」

「誤算だったのは、コロナ禍に見舞われたことです。量販店で場所を用意していただき、Quest 2をデモし、お客様にプレイしてもらうことが重要だと認識していたのですが、コロナ禍ではその展開が難しくなりました。いまようやく施策が実を結んでいる、という状況です(編集部注:取材は2021年12月末に行われた)」(味澤氏)

メタバースは「みんなで作る次世代インターネット」である

Metaへの社名変更後、「メタバース」には注目が集まっている。ある種の流行語・バズワードになっているような部分もある。それをどう思っているのかを尋ねると、味澤氏は次のように答えた。

「『メタバース』という言葉が盛り上がること自体は、とても良いことだと思います。ただ、やはり『みんなで作っていく』ことが重要なのだと思います。インターオペラビリティ(相互可用性)のような概念をあまり考慮しないで話されているケース、単純なVRのアプリケーションみたいなものまで含めて語られている部分もあるように思います」