「コロナ禍で女性の非正規雇用の割合は53.6%と男性(22.4%)の2倍以上となっているほか、女性の自殺者数が2年ぶりに増加となっているというニュースを聞いたときは衝撃を受けました。女性の雇用環境が悪化している一方、IT業界に目を向けてみると、エンジニアは慢性的に人材不⾜が続いており、エンジニアの⼥性⽐率はわずか2割です。⼥性の雇⽤環境が悪化しているのに、IT業界は⼈⼿不⾜でジェンダーギャップがある。女性エンジニアの比率を高めることができれば、その矛盾を解消することができると思ったんです」(山崎氏)

そうした思いから、⼥性のためのオンラインプログラミングブートキャンプを立ち上げることに決めた。一般的なプログラミングスクールは(受講者の)男性の割合が多いことから、学びやすい環境をつくるため、女性限定にしている。

また、オンラインプログラミング学習サービスはすでにいくつもあるが、「ひとりで学習していくスタイルでは、なかなかモチベーションを維持できない」(山崎氏)とのことで、ブートキャンプ型のプログラミング学習サービスになっているという。途中で挫折させないために、IT企業で働く現役のエンジニアが専属コーチとして、オンラインで質問に答えてくれる仕組みも用意されている。

「Ms.Engineerのターゲットは20代後半から30代以降の社会人女性です。彼女たちを未経験から(市場価値の高い)即戦力のエンジニアにするためには、高度なカリキュラムを受講してもらうことが何より重要になります。だからこそ、Code Chrysalisとカリキュラムを提携することにしました。Code Chrysalisのカリキュラムはペアワークやグループワークも多くあるため、受講者は学習のモチベーションを維持しやすいと思います」(山崎氏)

社会全体における、女性エンジニア比率を高めていく上で重要になるのが、Ms.Engineerのカリキュラムを修了した後のキャリアだ。学んで終わり、というだけでは女性エンジニアの比率を高めていくことにつながらない。そこでMs.Engineerは複数のIT企業と連携し、受講者限定の実践的な就業機会の場を設けるほか、特別採⽤選考フローなどを提供し、エンジニアとして働くための道をつくる予定だという。

現在、3月に開講予定の2期⽣を募集しているMs.Engineer。今後、年間で数百人の女性エンジニアを輩出できるように、Ms.Engineerの規模拡大を目指していく。