それに対して、ネットプロテクションズでは国内向けに請求書型の「NP後払い」、スマホ型の「atone」といういずれも一括の後払いサービスを提供しています。他の国内BNPLサービスも一括の後払いが中心。このように分割が多い海外とは異なり、国内市場は独自の一括後払いサービスを中心に成長してきた背景があります。

日本ではユーザーが安心を求めて後払いを利用

 

欧米豪の地域では、クレジットカードからBNPLに決済ニーズがシフトしている現状もあります。クレジットカードで分割払いをすると手数料がかかるため、分割払いでも手数料のかからないBNPLサービスが人気となっているのです。また東南アジア地域ではECの急成長はあるものの、もともとクレジットカードの保持率が低いため、BNPLが主流となっています。

こうした海外の動きに対して、日本は世界とあまりリンクしておらず、「安心」をキーワードにBNPLの価値が独自に普及していきました。

日本では情報流出の懸念などから、「ECサイトでクレジットカードを使うのが怖い」という感覚があります。そのリスクを回避したいというニーズにBNPLが貢献してきました。そのため私たちは、「後払いは安心だ」と伝えることを大事にしています。

例えば、日本の通販でよく利用されている「代引き」も、後払いに近い決済と言えるでしょう。これも今までは安全な決済方法と思われてきましたが、荷物を配達してきた人に対応して直接支払いをするのが嫌な人もたくさんいます。また、荷物が届いた際にいちいち現金で払わなければならないのも、面倒だということもあります。

実際にネットプロテクションズの後払いサービスを選択するユーザーは40代が最も多く、20代から50代の幅広い層に使われています。中でも女性の利用率が高く、さらにすでにクレジットカードを保有している人の利用率も70%と高い数値です。これは若者のクレジットカードの代替と言うよりも、買い手となる消費者にとって安心感がある決済方法として選ばれているのではないか、と私たちは分析しています。

 

後払いのニーズはBtoBでも同じ

ネットプロテクションズでは、海外BNPLベンダーのように分割後払いでビジネスを拡大する方針をとっていません。その代わりにBtoC向けの後払いだけでなく、BtoBの後払いサービス「NP掛け払い」を2012年から提供することで、ビジネスの幅を拡げています。

実は後払いのビジネスモデルを考えていた当初のメモに、「BtoCだけでなくBtoBのビジネスもやる」と書いてありました。そういう意味では当初の想定通りにビジネスを展開していることになります。当時は5年で実現できると思っていましたが、予想以上に難易度は高くもう少しかかってしまいました。その分経験も積み、今では自信を持ってサービスを提供できています。