また、日本では一括の後払いが中心となっていますが、分割の後払いが多い海外では、新たな課題も生まれています(連載第2回参照)。分割で支払う際、ユーザーには手数料や利息は発生しません。しかし、支払いが遅延すれば、ユーザーに延滞損害金が発生します。

海外では分割後払いなど、ユーザーにとってBNPLの利便性が高いことから、若年層などが支払い能力を超えて後払いを利用するケースも増えてきています。

そのため支払いの遅延が発生し、高利率の延滞損害金が利用者に求められるケースが増加しているそうです。国によってはこういった状況を問題視し、BNPLが規制対象の金融商品とみなされ、事業者にさまざまな安全策を講じる義務が発生する例も出てきています。

日本は分割後払いが一般的ではないため、現状ではこういった懸念はありません。しかしながら、後払いが数多く使われるようになれば、良くないBNPLの使い方をする売り手なども出てきます。悪い使い方をするところが出てくれば、規制や規約が厳しくなりかねません。こういったことには、ネットプロテクションズだけでなく業界全体が協力し、対処していく必要があります。

そのため、後払い決済サービス関連の取引を公正にし、後払い決済による取引に携わる関係事業者の業務の適正な運営の確保、利用者の消費生活の向上と利便に貢献することを目的に「日本後払い決済サービス協会」が2021年5月に設立されました。会員企業には私たちネットプロテクションズを含め、後払い決済サービスを提供する7社が加入しています。

商品だけでなく、サービスの支払いなど幅広い対応が求められる

 

BNPLには今後サービス料金の支払いなど、幅広い対応が求められるようになっていくでしょう。これまで後払い決済が対象としてきたものは、主にECサイトなどで購入する物品でした。しかし、昨今はそれがEC以外のさまざまなサービスの支払いにも利用されるようになっています。ネットプロテクションズでもすでに訪問型のサービスの支払いに対応しています。今後はサブスクリプション型のサービスビジネスの台頭もあり、そうしたサービスビジネスへの柔軟な対応も求められるようになっていくでしょう。

サービス対象の幅を拡げる際に、ネットプロテクションズがポリシーとして重視するのが「誰でもできることはやってもしょうがない。ネットプロテクションズしかできないことをやる」と言うこと。

これを実現するために、組織としても柔軟性を持ち素早い判断ができるようにする。そのために、フラットな組織でお互いが協力する体制となるようにしてきました。組織が縦割りだと、これは実現できません。そのため20年間で最も苦労してきたのは、BNPLの仕組み作りよりもフラットな組織作りだったかもしれません。