またITの仕組みで自動的に与信を行うのではなく、怪しいと思ったものは人による目視で審査をしています。これについても10年以上の実績があり、人が与信を行った結果を、さらに機械学習で学習させています。目視などの人のノウハウも積極的に与信に組み込んでいるところが、他社との違いです。今はAIや機械学習技術は誰でも容易に使えるようになっていますが、与信精度の向上に使える学習データの量と質が、他とは異なる大きな特徴です。

 

BNPLのビジネスモデル自体はそれほど難しいものではなく、ビジネスを始めるために莫大な資本や多くのリソースも必要ありません。そのため比較的参入しやすいビジネスと思われやすいのですが、現実はリスクを最小化し企業ビジネスとして成立させるために与信精度を向上させること、大規模トランザクションへの対応など、運用面では高いハードルがあります。

結果的にBNPL市場の拡大は予測されているものの、専業ベンダーが次々と参入するような状況にはなっていません。ここ最近は、流通系やすでに他の決済サービスを提供している企業が、後払い決済方法を追加するのが主な流れです。

たとえば、ネットプロテクションズでは2021年2月にJCB、8月にはオリエントコーポレーションと業務提携を実施しています。クレジットカード決済を既に提供するこれら大手企業が、独自に後払い決済方法を構築しサービスに追加するのではなく、実績あるネットプロテクションズと組む。これは後払い決済サービスの運用面のハードルが高いことの現れとも言えるのではないでしょうか。

プラットフォーマーの参入や分割払いの課題

一方、海外に目を向けると、AppleやGoogleなど巨大プラットフォーマーが決済サービスに参入しており、4回の分割後払いなどの決済方法を提供する動きもあります。日本でもメルカリなどのサービス事業者が、後払い決済を提供しています。今後も力のあるプラットフォーマーが、独自の決済方法を追加する動きは加速していくかもしれません。

プラットフォーマーがそのプラットフォームに最適化された独自の後払い決済などを提供すれば、会員にとっては使いやすいものとなり、新たな価値提供でユーザーの囲い込みにつながります。しかしながら、ユーザー視点では、プラットフォームが異なればいつもの決済方法が選べないことにもなります。したがってユーザーの利便性とのバランスを考慮しながら、決済方法のラインアップを揃えていく必要があると考えています。