自分が所有するトークンの価値が上がることがわかっていれば、ユーザーはサービスの発展に貢献するような活動を行うようになります。間違った方向に行かないために投票することはもちろん、たとえば、積極的にそのサービスの宣伝をするといったこともするでしょう(実際、トークンの配布はプロモーション目的でも使われています)。

トークンを通じて開発者やユーザーがサービスを所有するということは、サービスの自発的な発展を促すことにつながるのです。

課題4:競合排除による市場イノベーションの欠如
解決方法:
サービスの運営方法を透明にして、ユーザーや開発者がサービスの方向性を決定できる

DAO:透明性を持って運営される組織

Uniswapのようにユーザーや開発者などが、管理者を置かずに共通のルールに従ってガバナンストークンを使って調整を試みる組織をDAO(Decentralized Autonomous Organization、自律分散型組織)と呼びます。

DAOはこれまでの会社組織に対抗するものとして考えられています。それは、ヒエラルキーのないフラットな組織で、ブロックチェーン上のプログラムで実装されたルールに従って、労働者が個々に働く組織として定義されています。最終的には労働者の働きに応じてブロックチェーン上のプログラムから労働者に自動で報酬が支払われることまでを想定しています。

DAOの概念
 

Web3ではそのサービスの運営をDAOが行うことは珍しくありません。なぜなら、特定の誰か(企業や権力者など)がサービスを管理していると、その人の意向でユーザーや開発者の意図しない変更が加えられてしまうかもしれないからです。したがって、ガバナンストークンの投票によってDAOが運営される場合は、誰かに偏らないようにトークンを分散化させることが重要になってきています。

ブロックチェーン開発者の間では「ディセントラライズ(decentralize)」、つまり分散化、非中央集権化と表現しますが、ブロックチェーンには誰かに権限が集中しないようにする仕組みが設計上、取り入れられています。たとえば、特定の誰か(コンピュータ)がその仕組みを管理するのではなく、多くのコンピュータが参加することによって特定者の意思を排除することで、ブロックチェーン上のやり取りの信頼性が高まります。

また同じく「トラストレス(trustless)」という言葉もブロックチェーン開発者の間で使われます。これは信頼がないということを意味しているのではなく、信頼をしなくてもよいようにすることを意味しています。すべてがオープンになっているブロックチェーンでは、仕組みやソースコードを検証すれば、誰かを信頼することなしに、正しく振る舞う仕組みを目指しています。