Meshの創業者で代表取締役CEOを務める佐藤峻氏は新卒でディー・エヌ・エー(DeNA)に入社し、タクシー配車アプリの「タクベル」(JapanTaxiとの統合により現在はGO)など複数の事業に携わった。

その後は同じくDeNA出身で前職時代から親交のあった大見周平氏が立ち上げたChompyで、フードデリバリー領域の事業作りを経験。かねてから起業を考えていたこともあり、​​デライト・ベンチャーズを経て2021年11月にMeshを立ち上げた。 

起業にあたっては約50個の事業案を検討したが、その中の1つが海外でも盛り上がり始めていたダークストア型のクイックコマースだったという。

「DeNA時代にユーザーとして(カーシェアリングサービスの)Anycaを使っていて、楽しい思い出ができました。このサービスを通じて同じような体験をする人が毎日たくさん生まれていて、しかもそれを作ったのが自分もよく知っている大見さんだった。事業の持つ力はすごいと思ったし、自分もそのような事業を作りたいと思ったんです」(佐藤氏)

いくつものアイデアの中からクイックコマースに決めたのは、このサービスであればあらゆる人が利用対象になり得る上に、使う頻度も高く、国を超えていける可能性もあるから。「買い物の体験を抜本的に変えていけると感じた」という。

Meshの創業者で代表取締役CEOを務める佐藤峻氏
Meshの創業者で代表取締役CEOを務める佐藤峻氏

ニーズを検証するべく、サービスを開発する前には50〜60人に「普段の買い物」に関してさまざまな切り口でインタビューも実施した。その中で「(スーパーで)購入するものをどのタイミングで決めているか」を聞いたところ、8割以上の人が「売り場に行ってから決める」と回答したそうだ。

「それを受けて思ったのが、食品の買い物はオンデマンドにデリバリーすべきであるということでした。普段の買い物では売り場でオンデマンドに需要が発生し、その場で買う物を決めている人が多い。ただ(配達までに時間を要する)ネットスーパーなどの場合は明日必要になるであろう物を、そこからさかのぼって考えなければいけないような仕様になっているものもあります。UXを考えるとオンデマンドであるべきだと考えました」(佐藤氏)

正式に会社を設立する前の2021年5〜6月ごろには事業領域を決め、具体的なサービスの仕様を検討したり、チームを組成しながら準備を進めてきた。

当時は日本にほとんどプレーヤーがいない状況だったが、現在は少々状況が異なる。クイックゲットやOniGOといったスタートアップに加え、UberやWolt、Coupangといったグローバル企業やZホールディングスなど資本力のある事業者が関連するサービスを開始した。