ユーザー用のモバイルアプリ
 

仕組みとしてはユーザーの決済が完了すると、拠点に待機しているOniGOのピッキング担当者(ピッカー)のアプリに通知が届く。ピッカーは注文内容に沿って棚から商品を集め、配送担当者(ライダー)が指定の場所まで運ぶ。

OniGO代表取締役の梅下直也氏によると子育て世代がコアなユーザーだ。ネットスーパーを利用している層と近いが、既存のサービスでは「届くのが翌日で、時間指定をしても2〜3時間家にいないといけないのが面倒」といったように配送部分にペインを感じている人も多い。その課題を解消する手段として、初期の顧客を獲得できているという。

ネットスーパーと同様の用途で使うユーザーが多いこともあり、生鮮食品や野菜、フルーツ、肉などが売れ筋商品なのだそう。一般的なスーパーに比べると商品数は限られているものの、OniGOでは約1600種類(SKU)の商品を扱っている。

ネット販売に特化した倉庫拠点(ダークストア)を構え、そこから商品のピッキングや配送を行う
ネット販売に特化した倉庫拠点(ダークストア)を構え、そこから商品のピッキングや配送を行う

欧米で広がるダークストア、「日本でも勝機がある」

梅下氏は新卒で入社した三井住友銀行を経て、2015年に中古車のオークション事業を手掛けるカープライスを創業。2019年に同社を楽天に売却した。その後はスタートアップの資金調達を支援する会社をやりながらも、再び自身で事業を立ち上げる機会を探っていたという。

そんな時、海外の起業家仲間から「欧米で急拡大しているQコマースが、なぜ日本では広がっていないのか」を聞かれ、海外の状況や日本の市場の調査を始めたことがOniGOを立ち上げるきっかけになった。

もっとも、最初から日本でのクイックコマースやダークストア事業に可能性を感じていたわけではない。むしろ当初はどちらかというと否定的だったようだ。

「日本はオーバーストアでコンビニもたくさんあり、Uber Eatsや出前館のようなサービスも存在する。この領域の専門家でもなかったのでレッドオーシャンだし、お金もかかるし機能しないのではないかと思っていました。でもデリバリサービスや既存のリテールとは全く異なるビジネスモデルだという話を聞き、リサーチを進めていく中で勝ち筋があるかもしれないなというのが見えてきたんです。Qコマースは社会的に良いインパクトを与えられるポテンシャルを持った事業であり、ビジネスモデルとしても優れている。それなら本気でやってみようと考えました」(梅下氏)

OniGO代表取締役の梅下直也氏
OniGO代表取締役の梅下直也氏

ダークストアの構造自体は単純で、店舗から生まれた粗利で運営にかかったコストをカバーできればいい。そこでポイントになるのが固定費がどれくらいになるのか、顧客を獲得して売上をきちんと確保できるか、そして配送料の問題をクリアできるかだという。