たとえば過去に金融業界の企業向けにどのような提案をしてきたかを短時間で調べたり、DXについて言及しているスライドを膨大な資料の中からピンポイントで掘り起こしたりすることも可能だ。またファイル上にカーソルを合わせるだけで中身を見られるため、1件1件開く手間もない。

麻野氏によると従来は資料の共有場所としてストレージサービスなどが使われてきたが、目的の情報にたどり着くまでに時間がかかってしまい、課題を抱えている企業も多いという。

「特に商談準備の効率化の部分が大きなペインになっています。(情報にたどり着けないので)営業担当のAさんが顧客向けに2時間かけて作った資料とほぼ同じようなものを、Bさんが別の会社向けに1から作っているというような状況が発生してしまっている。情報共有がされていれば、ものすごく短時間で済んだはずです」(麻野氏)

ナレッジワークはGoogleドライブやBoxと連携できるためファイルをすべて移管する必要もない。麻野氏は「ストレージサービスは作成の場、ナレッジワークは共有や発見の場」として使い分けられるといい、ナレッジワークは「高精度な営業ポータルのような役割」だと説明する。

同サービスはナレッジ領域の機能が基本プランとなっており、オプションとしてラーニング領域の機能やワーク領域の機能を加えることもできる。料金はプランの内容や利用者の人数によって異なるが、目安としてはミニマムで月額数十万円から使えるという。

なおラーニング機能ではナレッジとして蓄積した資料や動画などを用いて、営業担当者向けの学習プログラムを簡単に準備できるのが特徴。少ない作業で効果的な学習環境を整えられる仕組みによって、新メンバーの早期戦力化や受注率向上を後押しする。ワーク機能は顧客との商談準備や実際の商談をサポートするものだ。

ラーニング機能の画面イメージ
ラーニング機能の画面イメージ

すでに数十社が導入、1000人規模で活用する企業も

ナレッジワークではサービスのアルファ版を2020年の7月、ベータ版を同年10月にリリースしており、2年近くにわたってプロダクトの検証や機能改善を続けてきた。

すでにサイバーエージェントや日清食品、マネーフォワード 、ビズリーチなど数百名規模の企業数十社でサービスが活用されている。サイバーエージェントの場合は1000人を超える営業組織で導入しており、デイリーで200人〜250人がアクセスするツールとして重宝されているそうだ。

今後は正式版として引き続き機能拡張を進めながら事業を拡大していく計画。たとえばデータを活用したレコメンドはまだまだ改良の余地があるところだという。