b8ta Japanでは、“売ることを主目的としない”としているものの、出展している製品の販売は可能だ。バックエンドには在庫を保管しており、売り上げは事業者にノーマージンで還元される。出展する事業者は最終的には販売を目的としており、どう販売するか、来店客からどんな声・フィードバックを集めたいのかなど、出展期間中はカスタマーサクセスチームと事業者で打ち合わせを重ね、ノウハウを蓄積している。

国内4店舗目にあたるb8ta Koshigaya Laketownを埼玉県越谷市のイオンレイクタウンkazeに開業する理由としては、首都圏の郊外・ベッドタウンを環状に結ぶ国道16号の近郊であること、高所得者の数、同施設の年間来場者数が5000万人以上(2019年度)にも上ること、何らかのトラブルがあった場合に東京からのヘルプを短時間で行えることを挙げていた。不特定多数の来店者を増やす点では、東京都内に出店を絞り、常設店舗を次々と出店する手はあるものの、これでは日本全国レベルでの認知度向上が難しい。またオペレーションの観点では、札幌・大阪・福岡などの主要都市で開業した場合、東京からのヘルプに半日程度かかることを危惧した。

“売ることを主目的としない店舗”を持ちたい事業者を支援する新事業

b8ta Japanでは、CVCを含む3~4社からの追加調達を6月末に予定。シリーズBラウンドの累計調達額としては約6億円前後としている。参入当初から店舗を数百店舗まで増やすといったことは想定しておらず、常設店舗を8〜10店舗まで増やすことを狙っているという。

そして事業が頭打ちとなることや、“売ることを主目的としない店舗”のコモディティ化に備え、b8ta Japanは、同社のコンセプト自体やソフトウェアを販売するというビジョンのもと、フランチャイズ的なビジネスも始める。今後、b8taのような店舗を自社で展開したい事業者のバックエンドをサポートしていくという。例えば、ある事業者が百貨店などにポップアップストアを出店する際やイベント出展の際に、b8ta Japanがその裏で動くシステムやスタッフを提供することを計画している。同社が掲げるRaaS、“サービスとしての小売”を一段と強化していく方針だ。

これらバックエンドの支援においては、リードインベスターの東芝テックが抱える営業網や保守網とのシナジーを期待できるとしている。こうした背景から東芝テックをリードインベスターとして迎えたと北川氏は説明した。