また河邑氏が「インテル型」と話すように、世の中にある検査装置にアダコテックの技術を組み込んでいく新規事業にも取り組む。

河邑氏によると既存の検査装置は精度と設定工数の面で改善の余地があり、今のところは「完全な自動化には程遠い」状況だ。アダコテックのソフトウェアの場合は100枚程度の正常な画像データでモデルを作れるため、数週間かかっていた準備が2〜3日に短縮される。

すでに実証実験ベースでは一定の成果が出ており、2023年には同社の技術が組み込まれた検査装置が発売される予定だという。

「さまざまな事例に取り組む中で、この1年間は検品データの希少性や重要性に改めて気づかされた期間になりました。最初の目的は自動化による人手不足の解消や作業効率の改善などであったとしても、実は検品のデータが定量化されて、蓄積されていくことが製造業のDXにおいても重要です。それがものづくりの改善や、取引コストの削減などにもつながっていく。そんなところに自分たちの未来があるのだと感じるようになりました」

「検品のデータ化を、現場主導で新しい発想や創造性が生まれるきっかけにしていきたいです。検品はどうしても労働集約型で同じことを黙々とやっている側面もありますが、AIの活用で効率化とデータ化が進めば、人はそのデータをどのように活かしていくかや、どうやって新しいものを作っていくかにもっと時間を使えるようになる。そのような仕組みを実現することで、日本の製造業を後押ししていければと考えています」(河邑氏)