個人的にはやはり、そういうものが好きというのもあるので、僕自身という意味だとそうかもしれません。ただ、別にそれだけ(が正しい)ということではなく、いろいろなトレンドがあるので、(起業を)やるなら自分のやりたいことをやるべきかと思います。

──今の若い起業家の方が自分の戦う領域を選ぶとしたら、何を指標にして、どういうことを考えてマーケット選定などをすべきでしょうか。

とにかく、まずは好きかどうかということだと思います。やっぱり好きじゃないと続けていけないっていうのがまずあります。人より詳しくなり、それを続けていろんな失敗もしながら、自分の思うものを作っていくのはすごく難しいので。ただその好きっていうのも、人間、別に何か1つのことが好きというわけじゃなくて、いろいろな側面がある。だから自分が好きだと思うものを、いろいろやってみて、その中でもっと好きになりそうなものを突き詰めていくのがいいんじゃないかなと思います。

ここ15年、20年で起業環境はとても良くなっている

──今、岸田政権もスタートアップの背中を押しましょうという姿勢ですし、経済団体もいろいろな提言をしています。スタートアップ庁を作るといった話もあります。山田さんがもし、そういう提言ができる立場になったときに提言したいこと、伝えたいことはありますか。

僕自身、自分を起業家だと思っているので、今はメルカリがグローバルで成功するということがやはり一番重要で、それが(社会に)波及する効果はすごく大きいと思っています。だから、あまり諸条件を考えて提言しても、もしかしたらそれが別のことに波及するのではないかなど、いろいろ考えて、あまり政治的な発言はしないようにはしてきています。

その前提で、いわゆる“イコールフィッティング”というか、競争環境を整えるということは、もしかしたら政府などができることではないかという気はしています。いろいろな規制があって日本ではできないことは、やはりたくさんあると思いますし、足かせになっている部分がいろいろなところにあるとも思います。その1つ1つをどうすればいいのかは正直、僕自身もわからないこともあります。でも「これって本当に必要なんだっけ」ということを1つ1つ、前提から考えるというか、見直すということはしてほしい。

昔々に制定された、インターネットがない時代の法律によって、例えばUberのようなライドシェアや民泊ができないなど、いろいろな例があると思います。そこはやはり、ちゃんと実情に合った形で考えて、「本当に今の時代にこれって必要なんでしたっけ」というようなことは議論してもらいたいとは思います。