──これまでの起業家人生を振り返って、その辺りはだいぶ良くはなっていますか。起業しやすい環境に。

うん、それは良くなっていますね。資金とかは特に顕著だと思います。僕が2000年代前半ごろに起業したときっていうのは、本当にVCもエンジェル投資家も数えるぐらいしかいなかったのが、今や、ものすごい数のVCもエンジェルもいて、そこが改善したのはすごく大きいですよね。

エンジェルには、かつて、いろんなビジネスで成功された方も多いです。そういう方のノウハウがまたスタートアップの方に注入されるとエコシステムのようなものができるんですが、やはりそんなにすぐにはできないわけです。それが15年、20年という時間をかけてすごく成長していることは実感としてあります。もちろんシリコンバレーはさらに大きくなっているんで、全然追いついてはいないんですが、でもすごく良くなってきているなという感覚はありますね。

山田進太郎氏
 

「自分の好きなものを追求せよ」次の“挑戦者”へのメッセージ

──「ノウハウをその次の世代に注入する起業家出身の投資家が現れて、スタートアップのエコシステムが回っている」という話でしたが、山田さんご自身から注入いただくとしたら、どういうメッセージがいただけるでしょうか。

やはり、自分が「こういうものがあったらいいんじゃないか」という、自分が欲しいものをプロダクトとして作ってみることを勧めたいと思います。作ってみたら、ものすごく使われるかもしれないし、全然使われないかもしれない。でも、どちらであっても、すごく学びがあると思うんですよね。そういうことをやっているうちに「これが本当に好きなことだったのか」「自分がやりたいことなのか」ということがわかってくると思います。

今はAWS(Amazon Web Service)とかGCP(Google Cloud Platform)とか、本当にいろいろな(クラウド上の)インフラがあるので、インターネットスタートアップならいろいろなものを自分で作れる時代です。だから、とにかくプロダクトを作って、小さくてもクローズドでも、友達限定でもいいので、何か試してみることが、世の中を大きく変える、何か1つのきっかけになっていくんじゃないでしょうか。

──欲しいものを作る、トライアンドエラーを繰り返して、それを磨いていくことを、極めて愚直に続けて、好きなものを突き詰めて作っていく、やり続けるといったことが大事ということでしょうか。

そうですね。愚直っていうのもそうなんですが、例えば僕だったら、旅行が好きだから、旅行に行けば毎日楽しいじゃないですか。あるいは漫画とかでもいいんですが、漫画を読んでる時間って、別に時間を感じずに読んでいると思うんですよね。