ただ、人間の本質は変わらないと僕は思っています。例えば今、いわゆるGAFAMと言われるような企業が提供するショッピング、検索、ソーシャルネットワークといったサービスも、基本的にはどこの国の人も熱狂的に使っています。マーケットプレイスも、アメリカならeBay、日本ではヤフオクと、それぞれの国で強いサービスはありますが、基本的にはどこでも存在しうるサービスです。そういう意味で、CtoCサービスに関しては、僕自身はどこでも通用するものだと思います。ただ、エントリーの方法については、プロダクトの形もマーケティングの形も、その現地にアダプトする必要があるというイメージです。

キーノートセッションの様子
 

個人的に今注目しているのは「Web3」

──少しメルカリの話から離れて、“起業家”山田進太郎さんの話を伺いたいと思います。今、興味を持ったり、注目していたりするサービスやトレンドは何かありますか。

メルカリ自体、「マーケットプレイス」ですごく幅広いものです。だから、例えばブロックチェーンなんかは、大きな意味でマーケットプレイスという見方もできるし、そこに役に立つ技術という見方もできると思っています。まずは暗号資産取引所からスタートしたメルコインや研究開発組織の「mercari R4D」ではずっと関わってきました。

メタバースなども人が集う場という意味においては、マーケットプレイスだと考えられます。そういったいわゆる今あるトレンドは、結構(メルカリの事業に)関わってくる部分が大きいと思っています。ですから、そういった研究開発部門などではかなり幅広く(トレンドを)見ている感じです。

個人的に面白いと思っているのは、バズワードかもしれませんが「Web3」でしょうか。とにかくいろんなことが試行錯誤されていて、ほとんどはうまくいかないと思うんですけれども、やはりこういう中から新しいトレンドというのは出てくると思っています。ビットコインなんかもそれで出てきた、ひとつの最高傑作のようなものでしょう。お金がそうやって、新しく再発明できるんだったら、もっともっと、いろいろなものが再発明できんじゃないかという感じはしているので、そこはすごく丁寧に追うようにはしていますね。

──山田さんはリバタリアン(自由主義)を公言されてもいますし、Web3でうたわれるDecentralize(ディセントラライズ、非中央集権化)という考え方には個人的にも興味が強いのではないかと思います。もし、山田さんが今、学生や20代前半ぐらいで起業するとしたら、やはりWeb3関連なのでしょうか。