これはもしかしたら、起業直後とかでもそうかもしれないんですが、そういう中で、多様な人の意見を聞いて、その中で意見を集約するというか、インクルージョンしてやっていくという、まさに「D&I」(ダイバーシティー・アンド・インクルージョン、多様性と受容)みたいなことが、自分にとってはすごく学びになりました。

日本でも今、エンジニアの半分ぐらいが外国人になってきて、その中ではいろんな衝突やコンフリクトもあります。でも、それを乗り越えていくことで、より多様なお客様に対してサービスが開かれていくような感覚もあります。

──外国人エンジニアの採用を積極的に打ち出したのも、かなり早いタイミングだったように思います。

そうですね。といっても5、6年前のことだと思いますが。

──ちなみに、アメリカ進出にはかなり早期に動かれていたと思いますが、それ以外でも山田さんのSNSなどを拝見していると、海外リサーチのためにヨーロッパなどに行かれているようです。マーケットの選定には何か基準や狙いがありますか。

あらゆる可能性を探っています。国によっても全然状況が違うので、そこで、はやっているものを見たり使ったりすると、すごく学びになります。僕はユーザーインタビューをするのが好きで、もちろんインターネットでのサービスなので(どこでも)使えることは使えるんですが、現地の人がどういうその思いで使っているかを知って学べる、肌感のようなものが、最終的に勝ち筋をつくるときには、すごく重要になると思っています。だから、いろいろなところへ行って、いろんな人の話を聞くといったことは、割とコツコツやっていますね。とはいえ、ある意味、世界一周したほどの旅行好きなので、趣味も半分あるかもしれませんが(笑)。

──前職ではゲームやウェブサービスを扱っていましたが、メルカリはインフラなど、リアルにもかなり繋ぎ込まれたサービスです。国によって戦い方が変わる部分もあると思いますが、そういうインフラやリアルを含めた事情を見に行くのが大事なのか、それとも、その国の方々がどういうプロダクトをどう使っているかという部分が大事なのか。何が市場選定で一番大事だと考えていますか。

それはプロダクトによって全然違うと思います。インターネットで完全に完結するバーチャルドリブンなもの、例えばゲームなどは、言語は訳す必要がありますが、App Storeなどで百数十カ国、一度にリリースしたりもできるわけです。しかしマーケットプレイスなど、今はよりリアルが絡むようなサービスにインターネット(全体)が振れてきています。UberやAirbnbもそうですが、そうなればなるほど、法規制なども含めた現地のいろいろな対応をしていく必要が出てきます。