「これまで、私たちにも当たり前ですが社員同士の揉め事やいさかいはありました。その理由を探っていくと、結局、お互いの仕事が見えていないことに原因があるのです。見えていないから誰々さんはさぼっているとか、仕事をしていないという不信感が生まれる。オンラインで共有しても普通はチェックしませんよね。だったらいっそのこと全員の前で共有してしまえばいい、とこのスタイルに落ち着きました。本当に細かく、何時〜何時まで何をやっているかを出してもらいます」

「私たちは生産、加工、販売を一社で手掛ける六次産業の会社です。リモートでは、各現場ごとに誰が、何をやっているのかがわかりません。みんながやっていることを、みんなが知っていることで社内の信頼は生まれます」

企業理念と行動指針を徹底して浸透させるワケ

ちなみに「全員出社」の方針は社員からも異論は上がらなかったという。では、ラジオ体操はなぜやるのか。

「まず体を動かすことで、気分を切り替えるというのと、みんなで同じことをやっているという一体感を大切にしようということですね。みんなが知っていて、できるものということでラジオ体操に落ち着きました。ちょっとした揉め事があっても、揉めている人がラジオ体操をやっているところをみたら、許せると思うんです。まだ会社が成長する前で、人数も少ない時期に始めた慣習ですが、これも人間関係を作るために必要なことだと思っていたので続けています」

理念はただ読み上げるだけでなく、定期的に開催される合宿では、理念と行動指針を何もみないで白紙の上に書くという時間がある。句読点の位置が違うとか、漢字とひらがなの違いまで細かいチェックが入る。そこまでこだわる理由がある。

「私たちの会社は理念企業です。まず何よりバラが土台にあって、そこで商品を展開する。やみくもに事業規模を拡大しようとか、上場を目指そうという考えではなく、もっと大きな目標があるんだ、ということを全員が忘れないようにしようということです。理念は日常から気にかけていないと、意外とすぐに忘れてしまうと思うんです。自分たちは何を目標とし、どのような手段でそれを達成するのか。理念に反したことはしていないか。常にチェックすることで、みんながひとつの目標を目指せるんです」

ROSE LABOには、今の時代、特にベンチャー企業のトレンドとは真逆のルールがもうひとつある。たとえば「社内では敬語。呼び捨てもだめ。苗字+さんで呼び合う」こと。無論、社長にも例外は適用されない。