特に中国に対してバッティング(衝突)しているところがあったので。ただ、そんな中でもTikTokスターは存在していたので、もうその時点では止められなかったのでしょう。

そのタイミングで重要なターニングポイントがありました。それまでは、TikTokスターたちはTikTokだけで勝負していました。しかし、「あと一晩で禁止になるかも」となったタイミングで、TikTokスターたちはTikTok LIVEで「インスタでフォローしてください」ってみんな言い出したんです。そして、その次の週ぐらいからトップのTikTokスターは全員、YouTube番組を始めていました。

──インスタもYouTubeも……。

全部やるっていう。プラットフォームに依存するリスクを、クリエイターたちがあの瞬間に理解したんです。

──トランプのおかげなんだ(笑)。

(笑)。でも、そのおかげで「マルチSKU*」のクリエイターという概念が生まれたんです。クリエイターがマネタイズのためにマルチSKU化してしまったので、プラットフォーマーが焦ってクリエイターファンドを作ったんです。

*SKUは、在庫の最小管理単位のこと。ここではマルチSKU=「複数のSNSやチャネルを運営する」ことを指す。

 

 

クリエイターエコノミー3.0はクリエイター側が権力を持つタイミングだった

──海外のプラットフォームだと1億円単位の札束でほっぺたを叩いてくるようなクリエイターファンドがたくさん出てきて……。

クリエイターをキープしないといけないと。

──育てたいというより留めたいという感じですね。プラットフォーム同士のクリエイターの奪い合い文脈なんですね。

圧倒的に個人の力に寄ってしまったところが大きいですね。特に今ですと、TikTok、Reels(Instagram Reels)、Shorts(YouTube Shorts)に、完全に同じ動画を出す人もいます。なので、クリエイターエコノミー3.0はクリエイター側が権力を持つタイミングだったわけです。

初期YouTuberはYouTubeにすごく貢献しました。しかし、コンテンツを作って、提供していたのに、YouTubeの株などをもらえたわけではなかったので、そこのアップサイド(利益)はシェアされませんでした。クリエイターエコノミー4.0ではそのオーナーシップ(が加わります)。インターネットの歴史で見ると、Web3.0というものになるのかなと思います。

──僕はnoteの人間なので、僕がいうのはちょっと嫌らしくなっちゃうかもしれませんが、noteの課金の仕組みはやっぱり早いですよね。noteができたのは2014年ですが、その頃にクリエイターエコノミー的なサービスは、海外ではあまりなかったですよね。