any代表取締役の吉田和史氏
any代表取締役の吉田和史氏

「世の中のさまざまな情報がウェブ上から検索してアクセスできる時代なのに、社内の情報はそうなっていない」──。社内のナレッジ共有を促進するクラウドサービス「Qast(キャスト)」は、any代表取締役の吉田和史氏自身の原体験から生まれたものだ。

個人が持つ知識やノウハウを集約し、組織のナレッジへと変えていくことで生産性の向上につなげていく取り組みは「ナレッジマネジメント」や「ナレッジ経営」と呼ばれる。概念自体は数十年前から存在するものの、いまだに社内の情報共有やナレッジの蓄積に関して課題を抱えている企業は少なくない。

QastではQ&Aサービスのような仕組みを通じて社内に埋もれている個人の知見を引き出し、誰でも簡単にその情報へアクセスできる土壌を整えることで企業の課題を解決してきた。2018年7月のローンチから約4年、無料プランのユーザーも含めた累計の導入企業社数は約5000社まで広がっている。

コアなユーザーは従業員規模500人以上の非IT系企業だ。約5000人規模で全社導入している丸井グループを筆頭に、数千人規模でQastを導入する企業も出てきている。

運営元のanyでは2026年までに5万社への導入を目指し、機能拡充や組織体制の強化を進めていく計画。そのための資金として以下の投資家よりシリーズAラウンドで4.5億円を調達した。