サービスのイメージ
 
サービス画面のイメージ
サステナクラフトの手がけるサービス画面のイメージ

サステナクラフトで代表取締役を務める末次浩詩氏によると、従来は人力やドローンで森林のモニタリングをすることが主流となっていたが、その際のコストが課題になっていた。たとえばドローンを活用する場合「カーボンクレジットのレベニューとモニタリングコストがほぼ同等になってしまうこともある」という。

その点、衛星リモートセンシング技術を有効活用できれば、モニタリングのコストを10分の1程度まで抑えることができる。ドローンに比べてモニタリングの精度がネックになるが、サステナクラフトではデータサイエンス技術を活かして推定結果を補正する仕組みを開発することで、低コストかつ高精度のモニタリング手段の実現に挑んでいる。

実際に顧客の1社はリモートセンシング技術を用いたサービスをいくつか比較した上で、唯一、実運用できるレベルにあることからサステナクラフトを選んだという。

また森林クレジットの透明性を評価していく上では、モニタリングの課題に加えて「クレジットの算出方法の複雑さ」という課題も解決していかなければならない。

森林保全プロジェクトのCO2削減量を算出する際には、過去の森林減少や劣化などに伴うCO2排出量の推移をもとに将来のベースライン(FREL : 森林排出参照レベル)を割り出し、その数値と実際の排出量の差分を計算する必要がある。実際の森林プロジェクトによるCO2吸収量や排出削減量よりもはるかに大きなクレジットが創出されているケースは「ジャンクカーボンクレジット」とも言われ、批判の対象にもなりかねない。

プロジェクトを通じてある地域の森林伐採を抑制したとしても、乱伐が周辺地域に移行して近隣の排出量が増加してしまう(Leakage)可能性もあり、その点も加味して評価することが求められる。

サステナクラフトには野村総研などでデータアナリストとして働いた後、東京大学の博士課程でデータサイエンスの研究をしていた末次氏を始め、経済学や工学の博士号を持つ複数のデータサイエンティストが在籍。ほかにもコンサルティングファームで事業開発経験があるメンバーや、JICA・米州開発銀行など国際開発領域での経験があるメンバーが集まり事業を進めてきた。

中南米からスタートし、現在はブラジルやインドネシア 、日本の森林をモニタリングするサービスを手がけている。

今後はブラジル、インドネシア、フランスなどで現地の実証パートナーとともにコア技術の研究開発に取り組んでいく計画。それに向けた資金として、三菱UFJイノベーション・パートナーズなどから累計で1.2億円の資金も調達した。