一方で、アプリを提供するためのサーバーの管理費が大きく発生するようになってきたこともあり、マネタイズについても検討しています。現在は、画像を生成するタイミングで数回に一度、広告が流れるようにしました。今後は月額制の有料課金モデルを導入することで、有料ユーザーは広告を見ずに無制限に画像を生成できるようにします。画像をどんな画風にするか、無制限に選べるような仕組みも提供していく予定です。

──画像生成AIの盛り上がりをどう見ていますか。

2018年に人間の顔写真を高精度で生成可能にした米半導体開発のエヌビディアによる「StyleGAN」、2021年にテキストの指示による汎用的な画像生成を実現した米AI開発・OpenAIの「DALL・E」、2022年にマイクロソフトが発表した画像生成AI「NUWA-Infinity」など、AIによる画像生成の領域でいくつもの革新が起きてきました。

そのような技術革新が基盤となり画像生成AIも実用化のレベルに達し、米AI開発・Midjourneyの「Midjourney」、そしてStability AIによるStable Diffusionやさらに手軽に使える「DreamStudio」のように、多くのユーザーが使えるサービスが誕生しています。

その中でもやはり、Stability AIがStable Diffusionのモデルをオープンソースで公開したことが与える影響は大きいです。画像生成分野のAIの研究開発は加速すると思います。

これから注目すべきは、汎用(はんよう)画像生成AIをプロ仕様にチューニングすることです。例えば、漫画を描くことに特化したり、服をデザインするのをサポートしてくれたりと、各専門領域で活躍するAIが登場するのを期待しています。

ベンチマークはAI写真加工アプリの「FaceApp」、今後はさまざまな分野への応用も視野に

──AIピカソ、AIdeaLabの今後の展開について教えてください。

私たちがベンチマークにしているのは、世界的にヒットしたAI写真加工アプリの「FaceApp」です。FaceAppはiOSとAndroidの累計で5億件以上のダウンロードを記録しています。AIピカソはリリースから2日間で8.5万件ダウンロードされ、日本のApp Storeの無料アプリランキングでは最高で3位になりました。

アプリをリリースしてみてわかったことですが、ユーザーは想像力豊かで、こちらがあっと驚くような画像を作り出してSNSに投稿しています。今後はSNSを活用して、日本だけでなく世界にユーザーを広げていくことを目指します。