2度のサービス開発を経てたどり着いた「AIピカソ」

──AIdeaLabはどのような経緯で設立された会社でしょうか。

AIdeaLabは、筑波大学でディープラーニングを研究していたメンバーたちで創業した大学発ベンチャーです。会社の設立からは1年8カ月ほど経ちます。画像分野や音声分野などのAIの研究開発に強みを持っており、研究論文で発表されるも実用化に至っていないような技術をプロダクトに落とし込み、開発しています。

今までに複数のプロダクトを発表しました。ひとつが、AIによる音声認識技術を活用した自動文字起こしサービス「AI議事録取れる君」。もうひとつがイベントをオンライン配信する画面に視聴者のコメントを流すことができるサービス「CommentScreen」です。

CommentScreenは、マイクロソフトやサイバーエージェントといった企業で導入されており、累計のユーザー数は100万人を超えています。直近はディープラーニング技術を使った日本語のフォント生成システムを開発し、特許を出願しました。

他にも公開していないプロトタイプのプロダクトがたくさんあります。「世界中の人をあっと驚かすプロダクトを生み出す」というビジョンを掲げ、AI研究のバックグラウンドを生かすかたちでプロダクトを開発しています。

──AIピカソの開発に至った経緯を教えてください。

私たちはAIの研究・開発者として、画像生成技術の進歩を誰よりも近い位置で観測し、その可能性を感じていました。実は新規プロダクトのアイデアとして、1年ほど前から何度も画像生成技術を活用したアプリケーションの開発について検討していたんです。しかし、当時の画像生成技術の精度ではプロダクトとして提供するのに限界があったこと、自社でモデルを構築した場合はディープラーニングによる学習に多くのリソースを費やすことになるといった理由から、開発を見送っていました。

今回、AIピカソの開発のきっかけになったのは、Stable Diffusionのモデルがオープンソースで提供されたことでした。これにより、先に検討していたようなアプリケーションを開発できると思い至り、すぐに開発に着手しました。

今後は有料課金モデルの導入も検討

──リリース後の手応えはいかがですか。

私たちはこれまでも、画像生成AIを活用したtoC向けのアプリケーションを2つリリースしてきました。ひとつはZoom上で映る自分の顔にメイクをしているような加工ができるアプリ「beauty zoom」、もうひとつは顔写真をアップロードして浮世絵風やディズニー風といった加工ができるアプリ「OhMyFace」です。この2つのプロダクトはなかなかユーザーが増えませんでしたが、AIピカソのリリースが3度目の正直ということで、アプリを多くの人に使っていただけて嬉しく思っています。