ユーザーから登録された給与データをPROJECT COMPが会社や職種などの項目で集計し、統計情報を作成してサイト上で提供する。ユーザーは同サービスを活用して「企業別」「職種別」「スキル別」「社会人歴別」などさまざまな切り口で年収データを閲覧したり、自身の情報と照らし合わせることで“自分の年収位置”を把握したりできる。

自分の年収位置がわかる
 

求人情報を集計した結果などではなく、リアルな給与情報を基にしているのがPROJECT COMPの特徴だ。また継続的に情報を残していくことで昇給率の相場比較や同世代での年収位置などを確認できるため、結果として転職時のみならず給与改定のタイミングなど時系列で給与情報が集まっているのもポイントだという。

現在サービス上で閲覧対象になっている統計データは約2000件。平均年収など一部のデータを除き、自身の年収情報を登録することで詳細なデータを確認できる仕様になっている。

なおPROJECT COMPで提供される情報は登録された情報数によっても異なる。たとえば特定の企業や職種の平均年収はデータの登録数が3件に達すると公開される仕組み。登録されたデータの数が増えるほど、「中央値」や「トップ1%の年収」といったように公開情報もどんどんリッチになる。

人事責任者時代に感じた「給与情報における情報の非対称性」

PROJECT COMP創業者の田川啓介氏
PROJECT COMP創業者の田川啓介氏

PROJECT COMP創業者の田川啓介氏はディー・エヌ・エー(DeNA)の出身。新卒で入社した同社ではゲーム子会社の代表や人事責任者(HR本部長)、執行役員などを務めた。給与データベースの事業アイデアは、DeNA時代の自身の経験も大きく影響しているという。

ゲーム子会社を立ち上げた際には、評価制度を1から作るにあたって「どのような経験やスキルを持っている人に対して、いくらぐらいの給与を払うのが妥当なのか」を調べるのに苦戦した。

人事責任者時代には採用面接や評価面談、退職者の慰留交渉など幅広い業務に従事。特に退職遺留のタイミングでは給与についての話題が出ることも多く、その際に強く感じたのが「給与情報は情報の非対称性が大きい」(田川氏)ことだったという。

同期の年棒水準が気になる、人事評価に納得できず疑心暗鬼になっている、中長期のキャリアを考えるにあたって自分の市場価値がどのくらいなのかを知りたい──。社員が抱える給与に関するさまざまな疑問。田川氏は人事責任者という役職についていたこともあり、「これらの疑問に回答するために必要な情報を一定程度持っていた」と話す。