「日本人を含むアジア人は“食感”を重視する傾向にあります。一方で海外の人はコーヒーやチョコレートのように“香り”を重視する傾向にあります。だからこそ、香りが立つような木のエキスや花のエキスを入れることにしました」(三木氏)

人との縁でドリームワークス本社での販売へ

こうした試行錯誤を繰り返した結果、誕生したのが主力商品の「Crystal Treats」だ。これは海草をベースにフルーツや花などの自然由来のエキスを贅沢に使用しているほか、ヴィーガン仕様でグルテンフリー・無添加を実現したグミのような食感の和菓子。

200万円持って、単身渡米し起業──キム・カーダシアンも認めた「和菓子ブランド」誕生秘話
 

この商品を持って飛び込み営業をするなど、地道に泥臭く営業活動を続けていくことで、少しずつチャンスが舞い込んでくる。その顕著な例がヘアサロンでの販売だ。

ヘアサロンでCrystal Treatsを購入してくれたスタイリストにはドリームワークス本社で働く彼氏がいたそうで、購入した商品を自宅持って帰った日には偶然、彼氏がいた。その彼氏がCrystal Treatsを食べたところ美味しさに感動して、ドリームワークス本社で販売する推薦状を書いてくれて、10社しか枠がない中販売できることになったという。

「アメリカは動けば動くほど、たくさんチャンスが落ちている国。『アメリカで起業』と聞くと大変なイメージを抱く人が多いと思いますが、『改善すること』に強みを持つ日本人ならたくさんチャンスがあるんだな、と感じました」(三木氏)

目指すのは「日本版の新しいLVMHグループ」

その後、オンラインやファーマーズマーケットでの販売にも着手していったが、最も売上に貢献しているのはTikTokと三木氏は語る。

アメリカではヒーリングや占いなどを専門にする人たちを“魔女(Witch)”と呼ぶそうで、彼女たちは自然や他動物に優しい人が多いことから、ヴィーガン向けでグルテンフリーのMISAKY.TOKYOの和菓子が支持され、TikTokの魔女業界から話題が生まれていったという。そこを起点に三木氏は製作過程やクイズ、ASMR(咀嚼音)などのコンテンツを試しながら投稿し続けた結果、現在TikTokのフォロワー数は13万人を突破している。

また、今回のキム氏とのコラボレーションも知人とのつながりがきっかけで、キム氏の会社のCMO(最高マーケティング責任者)から連絡があり、実現に至った。

「本当にどこにどんな縁が落ちているか分からないな、と思います。有難いことにトランプ大統領保有の高級ゴルフクラブで30社ほどしか選ばれない公認ベンダーのひとつに認定されるなど、この1年で少しずつ実績も出てきました」