コロナ禍をきっかけに生活様式や働き方、ビジネスの進め方など、さまざまな変化が起きた2020年も間もなく暮れる。
社会の変化はポジティブ、ネガティブの両面で、スタートアップにもさまざまな影響を与えた。世界的な移動の制約やリモートワーク導入企業の増加にともない、場所を選ばず業務を進めることができ、アナログな業務の電子化や効率化も図れるBtoB SaaSを提供する企業は、コロナ不況といわれる中でもおおむね業績を落とすことなく、むしろ成長を加速させたところも多い。
ただし、対象顧客が飲食業や旅行・観光業といった大打撃を受けた業界では話は別だ。ホテル業界向けにAIによる料金設定サービス「MagicPrice(マジックプライス)」を提供してきたスタートアップの空も、痛手を負った企業のひとつだ。
「挫折もあり、反省もありました」空代表取締役の松村大貴氏は、今年の状況についてそう語る。
空では、ホテル業界に特化していたMagicPriceを他業界でも使えるプロダクトへ変更する大きな決断を下した。12月にはその第1弾として、「ハイウェイバスドットコム」を運営する京王電鉄バスの高速バス座席予約システム「SRS」へのダイナミックプライシング(価格変動制)機能の導入を支援し、共同運用を始めている。