さまざまなトレンドが生み出されていく街、米ニューヨーク。“世界の中心”とも言われる地で、新しい農業の形に挑戦する日本人起業家がいる。
古賀大貴氏。ニューヨーク近郊に独自の⾃動気象管理システム(気温・湿度・⼆酸化炭素・⾵・⽇⻑・光の波⻑・培地・灌⽔(かんすい)などの完全制御)を取り入れた“植物工場”を展開するスタートアップ「Oishii Farm(オイシイ ファーム)」を立ち上げた人物だ。
現在、Oishii Farmが主力商品としているのは“いちご”。これまで植物⼯場での栽培に関しては、レタス以外の受粉が必要な作物は難しいとされてきた。実際、植物工場を展開する多くのスタートアップが栽培する作物のほとんどはレタスなどの葉物類だ。
しかし、同社は⽇本の農業技術をベースに開発された独⾃の栽培⽅法と受粉技術によって、世界で初めて⾼品質ないちごの安定量産化に成功した。
「受粉に必要な蜂は繊細な生き物なので、自然環境下でないと受粉してくれなかったり、ストレスで死んでしまったりする。そのため植物工場を展開する企業の間には『植物工場の環境下でハチを飛ばすのは無理』という一般常識がありました。この“受粉をする”という行為のハードルが非常に高かったわけです」(古賀氏)