主な利用目的は「ビジネス」と「レジャー」だ。観光目的での利用はほぼなく、ほとんどのユーザーは通勤、またはコロナ禍の下で純粋に移動を楽しむためにLUUPを利用する。週末には2〜3人で移動を楽しむグループも多く存在するという。

「コロナ禍なので、週2〜3回のビジネス利用、また、カップルや友達同士がそれぞれ機体を借りて遊びに出かけるといったニーズが堅調です。後者の利用が目立つため、平日と比較すると週末の方が利用が伸びている状況です」(岡井氏)

当初想定した以上の反響を受けて、LUUPでは機体数を大幅に増やしている。当初東京都の6区(渋谷区、新宿区、品川区、世田谷区、港区、目黒区)では約100台の機体を用意していたが、今ではシェアサイクルと電動キックボードを合わせて1000台以上を設置している。その約半分が電動キックボードだ。

約20億円の資金調達で開発体制を強化

Luupが目指しているのは、電車やバスを下車した後の移動をLUUPが担うことで、人々の生活圏や行動範囲を駅前だけに留めず、駅から離れた場所へも広げていくということだと小城氏は言う。そのためにはより気軽に利用できるサービスにしなければならないが、現状は利用の急増による機体不足や電池切れなどが発生しているという。

小城氏は「移動のハードルを下げるためには、ポートに行った時に充電された機体がしっかりと準備されている状況を徹底していかなければなりません」と述べる。

岡田氏は今回の資金調達を「いつでもどこでも乗れるプロダクトになるための、いわば下準備です」と説明する。Luupでは調達した資金をもとに、ソフトウェア・ハードウェア開発、ならびにデータ分析の体制を強化していく。

「それぞれのポートの人気には偏りがあるため、機体をスタッフが自ら移動させて再配置するという手間が発生しています。例えばデータ分析の精度を上げたり、ダイナミックプライシングを導入したりして、ポートごとの設置台数に偏りが生じないようにしていきたいと考えています」(岡田氏)

また岡田氏は「IoTデバイスを通じたユーザーの走行状態や機体の状態の把握をより徹底していきたい」とも話す。

「バッテリー、アクセルユニット、ホイールのモーターユニットなどの故障検知を、IoTデバイスからデータを取得することでしっかりと行っていきたいです。また、ユーザーの走行データを得ることで、ゆくゆくは禁止エリアや歩道などでは走行できないよう制御が可能な状態にしていきたいと思っています」(岡田氏)