私はテキサス大学に在学中、動物愛護活動家として活動していました。7年ほど前の話です。動物愛護団体のPETA(People for the Ethical Treatment of Animals:動物の倫理的扱いを求める人々の会)と手を組み、大学のカフェテリアにビーガン向けのメニューを導入するよう働きかけるなどしていました。

動物愛護活動家になったきっかけは、動物倫理の授業で見た「EARTHLINGS」という工場畜産に関するドキュメンタリーです。とてもパワフルな作品で、衝撃を受けました。残酷な環境に閉じ込められている動物たちを見るのがとても苦しく、動物たちを開放したいと思うようになりました。

活動家から起業家へと転身したきっかけは、ロサンゼルスで見たある講演でした。The Good Food Institute(代替肉や培養肉の普及を目指す非営利団体。Y Combinatorが出資)の創業者・Bruce Friedrich氏などが登壇していて、「サステナブルな食品を展開すればビジネスでも動物や環境は救える」と気づかせてくれました。その講演を見た後、ビジネスとアントプレナーシップの修士学位を取得し、ドイツへと渡りアクセラレーターを立ち上げました。ProVeg Incubatorという、代替タンパクに特化したY Combinatorのようなアクセラレーターです。

KULEANAのアイデアを思いついたのはProVeg Incubatorに関わっていた時のことです。WWF(World Wildlife Fund:世界自然保護基金)は2015年の報告書「Living Blue Planet Report」において、過去40年で世界の海の生物が半減したとしています。そのため、世界にポジティブなインパクトを残したいと考え、代替シーフードを開発するに至りました。

──KULEANAのミッションは。

KULEANAという社名は「責任」という意味のハワイ語に由来します。ミッションは「人々に美味しい食を提供すると同時に、環境破壊を防ぐこと」です。シーフードを代替するよりよい選択肢を提供し、2040年までに世界のシーフードの消費を半減することを目標としています。目標を達成するには、美味しくヘルシー、かつサステナブルなプロダクトを展開する必要があります。

たとえばTeslaの車は見た目も性能も素晴らしく、環境にも優しい。私たちは食品の領域において、Teslaのような存在になりたいと思っています。